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2022年01月13日(木)掲載
第11章 スタッフ奮闘編「俺の責務を全うする!」2/4
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続いて、とくに去年2021年にも大きく脚光を浴びた「ダンボールアート」の担当者を紹介しよう。

塚口サンサン劇場の地下1階は、途中で劇場の待合室として活用され始めた、と第2章「語る映画館編」で触れたが、いつしかそこに大きなダンボール作品が展示されるようになってきた。

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もともと戸村さんも2010年ごろからダンボール制作物の展示を始めていたが、大きく花開いたのが、國貞さんという女性がメインを担当するようになってからだ。
本来の仕事は映写だが、その合間を縫って制作している。
(ちなみに國貞さんは、2017年に実施した4週間の「女性の映画監督特集」の企画も行った)

ダンボールアートの最初は2015年頃。
『マジック・マイクXXL』上映時にニセ札デザインのものを作ったり、『パシフィック・リム』でメガホン作ったりしていた。
それが、第7章「特別音響編」でも触れた『ガールズ&パンツァー』の時から、巨大になった。
クオリティの高い戦車が展示され、ファンの間でSNSを通して拡散された。

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それ以降、『シティーハンター』の「100tハンマー」、『ボヘミアン・ラプソディ』の楽器セット、花火大会のやぐらなど、様々な巨大制作物がダンボールで作られ、SNSをにぎわせ続けている。
2021年には、『鬼滅の刃 無限列車編』にあわせて無限列車の先頭部分がつくられ、新聞の取材を受けるなど大きな反響を得た。

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中でも戦車は、『ガルパン』の上映になくてはならないものになり、これまで何回も制作されてきた、サンサン劇場ダンボールの顔ともいうべき存在だ。

もともとのきっかけは、戸村さんの「映画館に何か造形物があったら楽しいのでは?」という発想だった。あとは「大きければ大きいほど笑える」という思いもある。

戸村さんはこう振り返る。
「例えば、『映画観てきた』と言いながら友達にスマホで見せる写真がダンボールの戦車だったら面白いな、って。みなさんがちょっとした遊びに参加してくれるための仕掛けを作っている感じです」
そうして登場したのが、2016年の『ガルパン』戦車だったというわけだ。

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それ以降、國貞さんが中心となって、定期的に上映作に合わせてのダンボールアートを制作し続けてきた。
時には他のスタッフにも手伝ってもらいながら、日々の業務の合間に進めている。
作品を観に来たファンが、ついでに写真に撮ってSNSに拡散し、それを見た人がまた興味を持って映画館を訪れる、という循環を作っている。

だがこのダンボールアート、大きいだけがすごいのではない。
作品の大ファンが見て、納得するほどの細部の作りこまれ方も、人気の一つだ。
それもそのはず、國貞さんは作品の下調べや資料集めにしっかり時間をかける。ファンがどういうところに注目するか、どういう部分を再現すれば喜んでくれるかをいつも考え、それを制作物に生かしている。

理由は、塚口サンサン劇場がセカンド上映が多い、つまり「一度観た人が訪れてくれる可能性が高い」からだ。
そういったファンにちゃんと納得してもらえるように、そして作中の解釈が一致するように、國貞さんは作品の世界観や、造形物の細部をちゃんと調べたうえで表現しているという。

巨大物だけでなく、『トレインスポッティング』のトイレをつくるなど、作品に合わせて大きさやテーマを変えながら、様々なものを作りつづけている。

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使うダンボールは基本的に、劇場に届けられる宣伝物などを包んでいたものを再利用する。スタッフに「いい感じのダンボールあったら取っておいて」と話しながら、材料を確保し、制作に取り掛かる。(ちなみに戸村さんは「ダンボールは買うものじゃない、集めてくるものだ」と力説していた)

上映開始直前までの作業になってしまうことも多い。ギリギリまで精度を上げたくて、いつも頑張って作業している。
戸村さんからの指示は「ちょっとしたメモ書き」から始まることが多く、実物の制作に落とし込むのも大変だ。
でもその分、良いものが出来上がり、お客さんの反応も良かったときは、喜びもひとしおだ。

「映画館をテーマパークのように楽しんでほしい」
そんな塚口サンサン劇場の思いを、國貞さんを中心に生み出される、ダンボールアートが支えている。


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終章 映画館で映画を観る楽しさを


大阪・天神橋筋六丁目のシネマパブ「ワイルドバンチ」。2022年2月に現在の場所での営業を終了しました。現在移転調整中。



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