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2021年11月16日(火)
第5章 塚口マッ怒編「なんてラブリーな日だ!」2/4

2015年8月22日の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』イベント上映を、塚口サンサン劇場は「Screaming“MAD”上映」と名付けた。
日本公開が6月。その世界観や映像美、アクション性、ストーリーなどが熱烈なファンを生み、人気が拡大。いくつかの映画館ではすでに上映期間を延長するなど、大きな話題作となっていた。

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サンサン劇場でのイベントも、その人気を受ける形で実施が決定。
当日の詳細についてお知らせするブログ記事が8月7日にアップされ、そこに記された以下の文面が、SNSで大きく拡散された。

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立ち上がって絶叫してもOK!
シーンに合わせて掛け声を出してもOK!
 “V8!V8!V8!”と一緒に崇め奉ってもOK!
アクションシーンでクラッカーを鳴らしてもOK!
砂嵐で紙吹雪を撒き散らしても構いません!
(インド映画特有のマサラ上映の『マッドマックス』版と
思っていただくのが一番だと思います)
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これを受けて、ツイッターでは以下のような文言が躍った。
「サンサンならやってくれると思った」
「塚口にウォーボーイズが集まるのか」
「関西がうらやましい、東京でもやってほしい」
「緑の地はここにあったのか」などなど……。

キネプレでも記事を執筆するにあたり、戸村さんに取材をした。
その時にこんな会話をしたことを覚えている。

「ブログ記事の注意書きを拝見しました。特に注意点はありますか?」
「ボディペイントされる方は必ず衣服を着用して座席に座っていただければと思ってます」
「それは、ウォーボーイズ(作中に出てくる、上半身裸で白塗りの男性集団)のコスプレを考慮してですね」
「そうです、さすがに座席に白塗りがついちゃうので(苦笑)」
「銀のスプレー(作中で悪役イモータン・ジョーが洗礼儀式としてウォーボーイズの口に吹きかける)も使わない方がいいですよね?」
「そうですね……コスプレ準備中に使うのは全然OKです。地下一階をコスプレして集える場所として開放する予定なので」

改めて振り返ると、真剣な様子でなかなかな内容を話していた気もするが、ともかくそういった形で、「Screaming“MAD”上映」は実行された。

取材を終えて感じたことは、
「塚口サンサン劇場が、これまで取り組んできたことを総動員してきたな」ということだ。

インド映画でつちかった紙吹雪・クラッカーありのマサラ上映のノウハウだけでなく、
『パシフィック・リム』の時に気づいた、
「お客さんは自分たちで楽しみを見つけてくれる」
ということを、この作品でも活かそうとしていた。
だからこそ、作品内では悪役ともいえるイモータン・ジョーや、ウォーボーイズのコスプレを想定した文面を発表したのだ。
「“V8!V8!V8!”と一緒に崇め奉ってもOK!」
と書いたところに、その意図のすべてが現れている。
(※作中では、ウォーボーイズたちがイモータン・ジョーに対して熱狂的な信仰を寄せるとき、両手の指を頭の上で組み合わせてポーズをとり、「V8」と叫ぶ)

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そして迎えた2015年8月22日
劇場には、ウォーボーイズだけでなく、イモータン・ジョーのコスプレまで登場し、ファンたちは大いにわいた。
地下一階をはじめ、劇場のいたるところにコスプレがあふれるさまは、『パシフィック・リム』『劇場版 TIGER & BUNNY The Rising』『キングスマン』などの時とも同様だったが、参加者の熱量がその中でもトップクラスに高いイベントだった。
マサラやコスプレ、という雰囲気と、作品のノリがマッチしていたことも理由の一つだろう。

だが、行儀がいいのも塚口サンサン劇場ファンの特徴の一つだ。
先述したボディペイントや銀のスプレーも、上映前後は楽しむが、劇場や他のお客に迷惑をかける行為は控えられていた。
『パシフィック・リム』の時に確信した、「お客さんが自分で楽しみを見つけていく」ということと、マサラ上映の時に培った、「みんなで後片付け」にも通じる精神だった。

もちろん、上映中のテンションがそれで下がるわけではない。
上映前にはスクリーン前にイモータン・ジョーをはじめとするコスプレが集結し、全員でV8と大合唱。そのまま「Screaming“MAD”上映」がスタートした。

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絶叫と狂熱の夜が、幕を開けようとしていた。




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