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2021年11月15日(月)
第5章 塚口マッ怒編「なんてラブリーな日だ!」1/4

2013年10月に『パシフィック・リム』のイベント上映を成功裏に終わらせた塚口サンサン劇場。
その1年10か月後の2015年8月22日、さらに転機となるイベント上映が実現した。
映画は、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
同年に公開された作品の中でも、圧倒的にファンからの反響が多かった映画だ。

前章で、塚口サンサン劇場は『パシフィック・リム』以降、マサラ上映の要素(紙吹雪、クラッカー、声援、絶叫、ダンス、そしてコスプレ)を取捨選択しながらインド映画以外にも転用し始めた、ということを書いた。
その意味では、この『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のイベント上映は、その総決算の一つとも呼べる企画だった。

その前に一個、布石がある。

2014年5月に開催された、アニメ映画『劇場版 TIGER & BUNNY The Rising』の「最叫上映」だ。
特殊能力者たちが、企業をスポンサーにしながら街を守るヒーローとして活躍する姿を描いた人気テレビアニメ「TIGER & BUNNY」の劇場版シリーズ第2作。
前作の『劇場版 TIGER & BUNNY The Beginning』上映時に、「ワイルドに吠えるぜナイト」という、好きなシーンで大声を出しながら応援できるイベント上映が全国で開催され、人気を博した。第2作の今回、「最叫ナイト」と名を変え、再び全国で実施。
それを塚口サンサン劇場でも行い、コスプレした観客たちも多数劇場に詰めかけた。

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ここで、塚口サンサン劇場ならではとも言える、「劇場側の、細部へのこだわりが光るおもてなし」が発揮し始めることとなる。

まず、当日の地下1階のスペースを、交流所として開放。
同作に登場する都市やヒーロー養成所をもじった場所として、「シュテルンビルト塚口エリア ヒーローアカデミー塚口校」と名付けた。地下2階のロビーには、グッズの展示も行った。

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そしてそれだけでなく、随所に「スタッフの手作り」による展示物を張り巡らせ始めた。

一番反響があったのが、「折紙サイクロン」というキャラクターだ。
作中で「いつも見切れている」ことが有名なキャラだが、これを劇場内のいろんな個所に、まさに「見切れている」ように配置したのだ。
当日取材に伺った時、それに気づいたファンたちが歓声を上げ、写真を撮っていたのが印象的だった。

このイベントももちろん成功に終わったが、それは塚口サンサン劇場が、
「来場した人たちの気分をどう盛り上げ続け、楽しく感じてもらえるか」
に腐心していたからこその成功だった。

そのためには、ファンの心理をつかむことは不可欠。
じゃあどうすればいい?
「ある意味簡単です。自分もファンになることです」
戸村さんはそう言った。

このイベントが開催される当日までに、戸村さんをはじめスタッフたちは、「TIGER & BUNNY」をひたすら研究したという。
過去のテレビシリーズを鑑賞して、ファンたちのブログを読んでいく。
その中で、自分たちも好きになり、「じゃあファンの気持ちとしては、何をしてもらったら喜ぶだろうか」と想像を巡らせた。
それが、「折紙サイクロン」の見切れだったり、「シュテルンビルト塚口エリア ヒーローアカデミー塚口校」という命名だったりにつながった。

後日のイベント上映でも随所に見て取れるこのサービス精神。
例えば2018年6月23日の、『ベイビー・ドライバー』のマサラ上映では、劇中の強盗計画で描かれた黒板を再現した映像を流し、客席にはフタに「BABY」と名前が書かれたコーヒーカップ(マサラの紙吹雪入り)を配った。
そうした、作品のファンならニヤリとしたり、細やかなサービスに感動したりすることを、サンサン劇場はちょくちょく仕掛けていく。

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「神は細部に宿る」とはよく言われる言葉だが、まさに「細部にファンが喜ぶことを仕込む」のが、サンサン流なのだ。

そうした、「ファンの気持ちになって取り組む」ということ。
映画館だけではない。どんなイベントや企画にも、共通する話だ。
だが言うのはたやすいものの、実践はなかなか難しいはずなのに、塚口サンサン劇場は毎回、それをやってきている。
自分たちも作品を観て、研究して、ファンの楽しみ方を考えて、その劇場しかできないもてなしを生み出している。

それが一つの頂点に達したといえるのが、2015年8月22日の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』イベント上映だった。
そこには、「マサラの要素の導入」「細部に至るまでのおもてなし」の2つ(正確にはもう1つあるが、それは後述する)が見事に融合した、まさに「サンサン流」の一つの完成があった。




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