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2021年11月11日(木)
第4章 パシリム激闘編「立ち上がれ、この巨兵と共に」3/4


2013年10月13日。
塚口サンサン劇場で開催された『パシフィック・リム』激闘上映会で叫ばれた言葉。

「今日は、勝てる!!!」

この言葉を聞いた時の戸村さんの感動を、私と戸村さんが2019年に開催したトークイベントでの会話を引用して、インタビュー形式でお伝えしたい。

戸村さん:『パシフィック・リム』って、イェーガーと呼ばれるロボットと、「KAIJU」つまり怪獣との戦いのSF映画なんです。
もちろん映画なんで、最終的にはロボットが勝つわけじゃないですか。何回も観てる人ばかりなんでそれはみんなわかってるわけです。
でもですね、あの日、怪獣の応援席から「今日は、勝てる!!!」って声が聞こえたんです。

森田:勝てないのは、わかってるはずなのに(笑)。

戸村さん:そうなんです、怪獣が勝つバージョンのディレクターズカットがあるわけじゃないし(笑)。すごいセリフだなと思いました。
上映途中でも「いけ!いけ!」って叫ぶし、イェーガーが出たらブーイングを飛ばすし。
あの人たちは、本当にあの時、「いつも観るたびに負けているけど、今回は勝てるかもしれない」という気持ちで応援してくれたんです。

森田:大人の遊び方ですね。言ってしまえば「ごっこ遊び」なんですけど、それが楽しい。

戸村さん:そう、いい大人たちがそれを真剣にやる、その姿に衝撃を受けたんです。そして、「ああ、大丈夫だ、うちのお客さんは」と思えました。

森田:自分から身を乗り出して遊ぶ、そんなお客さんたちがいて、その存在に気づいたということですか?

戸村さん:振り返ればマサラ上映の時から、そんなお客さんたちがたくさん来てくれていたんです。それがすごくありがたいことでした。
だから『パシフィック・リム』のあの時が、「これからもできるな」って思ったキッカケでした。こういう楽しみ方をしてくれるんだ、自分たちで楽しみを見つけていくんだなと。

森田:自分ならではの楽しみ方を作っていくんですね。

戸村さん:そう、変な心配はもういらない、と思いました。入り口とプラットフォームさえ作ってあげれば、あとはお客さん自身が面白さを作っていく。イベントを進化させていくんだなと感じたんです。

森田:その考え方の変化があって、塚口サンサン劇場はさらに一層、愛されるイベントを生み出せるようになっていったわけですね。エポックメイキングな出来事でしたね。

戸村さん:本当にありがたかったですね。
だからこの日の『パシフィック・リム』の上映会に来てくれて「今日は勝てる!」と言った人が、おおげさでもなんでもなく、今の塚口サンサン劇場を作った人と言えると思います。

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自分たちで楽しみ方を見つけていく。
楽しもうと前のめりな気持ちになって、劇場を訪れてくれる。
そんなファンたちが、塚口サンサン劇場にどんどん集うようになっていった。

現在もそれは変わらず、続いている。
コロナ禍になるまでは塚口サンサン劇場を「大人たちの遊び場」として訪れる人たちがたくさんいたし、いまも訪れたいと願っている人たちが大勢いる。

それは、映画館だけでなく、これからのエンタテインメントの場所や空間が求められている一つの姿なのかもしれない。




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