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2021年11月10日(水)
第4章 パシリム激闘編「立ち上がれ、この巨兵と共に」2/4

2013年10月13日に塚口サンサン劇場で行われた『パシフィック・リム』は、いわゆる「マサラ上映」ではない。
紙吹雪やクラッカーは使用せず、ただ声を張り上げるだけ。
現在では「応援上映」と呼ばれる形式そのものだった。
だが繰り返して言うが、「応援上映」という単語はまだなかったから、サンサン劇場は「激闘上映会」と名付けた。

余談であるが、2015年に塚口サンサン劇場は、『パシフィック・リム』のイベント上映「激闘上映 リターンマッチ」を開催する。こちらは、紙吹雪・クラッカーありのマサラスタイルだ。2013年の成功を受けて、パワーアップしての開催だった。
このケースに限らず、塚口サンサン劇場では、「同じことを繰り返すのではなく、何かをパワーアップさせたりアレンジしたり、劇場ならではの目線を加えたりする」ことが多い。
その理由は戸村さんいわく「同じことを繰り返していても飽きられる。それに、スタッフも慣れてしまうとルーティンワークになってしまう」ということだ。
それよりは、いつも何かしらチャレンジをして、毎回新鮮な感覚を持って臨んだ方がいい。
そうやってスタッフが楽しんでいる様子は、きっとお客さんにも伝わると、戸村さんらは信じている。

2013年の『パシフィック・リム』激闘上映会も、劇場ならではのアイディアを加えた。
それも、とびっきりの革新的なアイディアだ。

なんと、スクリーン向かって右を「ロボット応援席」、左を「怪獣応援席」に分割したのだ。
戸村さんのイメージは「プロレス観戦」だった。
ヒーローも、ヒール役もそれぞれ声援を受けて、戦っていく。
それを大観衆が見守る。
それを『パシフィック・リム』でやろうというのだ。


「ぼくたちの仕事は、みんなの『楽しみたい』という思いを、どうエンタテインメントに、ビジネスに、仕上げるか、ということですから」
戸村さんは、そう語った。

大学生の男性が中心となって、「関西でもロケットパンチって叫びたい」という思いから企画をスタートさせた。
そこに、塚口サンサン劇場がアイディアを足した。
有志の一企画を、劇場発信の魅力的なイベントに、仕立て上げた。

10月13日当日。
「総員、塚口シャッタードームに集合してください」というアナウンスが響き、会場の笑いを誘った。
上映は17時30分からと20時からの2回開催。
チケットはともに満席となった。ロボット(イェーガー)応援席、怪獣応援席ともに満員だ。
開始前から、コスプレ姿の人もちらほらと現れはじめた。
中には、主人公が搭乗する巨大ロボット「ジプシー・デンジャー」のコスプレもいた。
ファンたちの熱気が劇場に渦巻き、このイベントはすでに成功を約束されたように思えた。

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だが戸村さんは、不安を抱えていた。
果たしてファンに受け入れられるのか。
みんな楽しんでくれるのか。
ロボット席、怪獣席に分けて、プロレスのように応援してほしい、その企画はうまくいくのか。

そんな戸村さんの耳に、怪獣応援側の観客から、こんなセリフが飛び込んできた。

「今日は、勝てる!!!」

この一言が。
それからの塚口サンサン劇場の、すべてを変えた

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