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終了【6/20(月)~23(木)】F・W・ムルナウの世界 キネピアノ in テアトル梅田

ピアノ生演奏で届ける名作サイレント映画
F・W・ムルナウの世界 キネピアノ in テアトル梅田

ムルナウ―それは最高峰の代名詞。

ロメールが憧れ、トリュフォーが絶賛した天才。
映画の中から、美と愛があふれだす。
時代を超える、ムルナウ珠玉の4作品。

キネピアノ_メイン画像

キネピアノサブ

サイレント映画+ピアノ生演奏の人気企画「キネピアノ」が、大阪・梅田の映画館「テアトル梅田」で6/20(月)~23(木)に開催!
エリック・ロメール、フランソワ・トリュフォーに多大な影響を与えたF・W・ムルナウ監督の4作品をピアノ伴奏付きで上映します。

上映作品
上映日:6/20(月)
タイトル:『吸血鬼ノスフェラトゥ』
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ドイツ表現主義が生んだ最初期のドラキュラ映画


ノスフェラトゥ1

監督:F・W・ムルナウ
出演:マックス・シュレック、グスタフ・フォン・ヴァンゲンハイム、グレタ・シュレーダー
制作・時間:1922年・ドイツ・95分
作品解説:
1838年。北ドイツの港町に住むフッターは、家を買いたいという謎の人物オルロック伯爵の依頼により、辺境の地・トランシルヴァニアにある彼の城へ赴くことになった。しかし、そこで待ち受けていたのは恐怖の物語の幕開けで…。
ドラキュラ映画の原点にして、怪奇映画不朽の名作。また、特殊メイクの出発点ともいえる重要作。オルロック伯爵が船でネズミの大群と共にペストを蔓延させるなど、原作には無いアイディアも織り交ぜた、巨匠ムルナウ監督版のドラキュラ映画となっている。

ブラム・ストーカーの小説『ドラキュラ』を翻案した最初期の「吸血鬼映画」にして「ドイツ表現主義」の代表作のひとつ。様式化された極端なメイクや演技、影を強調した表現主義的な見せ方がゴシックホラーの世界観を支えている。大量に登場する動物(虫、食虫植物)たちの運動も見どころである。吸血鬼がもたらす疫病の流行によってロックダウン状況に追い込まれる都市の光景には妙な既視感を覚えるかもしれない。血を吸う鬼の物語が一世を風靡した現代にぜひ見直したい一本である。

伊藤 弘了
映画研究者=批評家


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上映日:6/21(火)
タイトル:『最後の人』
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えぐりだされるドイツの制服信仰
老ドアマンの人生の転落劇

最後の人1

監督:F・W・ムルナウ
出演:エミール・ヤニングス、マリー・デルシャフト、マックス・ヒラー
制作・時間:1924年・ドイツ・89分
作品解説:ベルリンの豪華ホテル。雨の中、レインコートを着て老ドアマンが働いていた。レインコートの下には立派な制服。老ドアマンにとって、その制服は誇りであった。立派な髭をたくわえた威風堂々たる外貌に、近隣の住人たちも敬意を払っていた。しかし翌朝、いつものように出勤すると、そこには別のドアマンが。支配人室へ行くと、地下室のトイレ係への配置換えが命令され…。
字幕を排した無字幕映画の金字塔的作品。主演のエミール・ヤニングスは当時のドイツを代表する名優で、後に第1回アカデミー賞主演男優賞を受賞。また撮影には『メトロポリス』で知られるカール・フロイントが参加、見事な効果を上げている。

高級ホテルに勤める老ドアマンの悲哀をほぼ「無字幕」で描き切る。ドアマンを演じているのは名優エミール・ヤニングス(のちに第一回アカデミー主演男優賞を受賞)。ドアマンは自らの仕事を誇りにしており、とりわけ金モールで派手に飾り付けられた制服に愛着を持っているが、年齢を理由に地下のトイレ係へと配置換えを命じられてしまう(ホテル正面の回転扉とトイレ前の両開きのスイングドアが視覚的に好対照をなしている)。サイレントながら「音」に満ち溢れた本作を、ピアノの生伴奏がどのように奏でるか楽しみである。

伊藤 弘了
映画研究者=批評家


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上映日:6/22(水)
タイトル:『ファウスト』
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巨匠ムルナウがファウスト伝説を映像化
絵画的表現の美の極致

ファウスト1

監督:F・W・ムルナウ
出演:イェスタ・エクマン、エミール・ヤニングス、カミラ・ホルン
制作・時間:1926年・ドイツ・107分
作品解説:老学者ファウストは、黒死病の蔓延に無力な自分に憤る錬金術師。彼は悪魔メフィストを召喚し「一日だけ何の代償も無しに力を試してよい」と契約を結ぶ。ファウストは若さを取り戻して美しい女性を攫うが、若さを手放すのが惜しくなり悪魔と永遠の契約を結ぶが…。
文豪ゲーテの『ファウスト』を基に、民間伝承の中で描かれたファウスト伝説も参照して作られたムルナウ監督版のファウスト。絵画的な美しさが追及された撮影は動く絵画のようで、またロマンティシズムにも溢れた重厚な作品。

ドイツの文豪ゲーテの代表作『ファウスト』を映画化したもの。ムルナウがドイツで撮った最後の作品である。ファウストをたぶらかす悪魔メフィスト役のエミール・エニングスの好演(怪演?)が光る。視覚的な特徴としては多重露光が多く用いられており、怪奇的・幻想的な雰囲気やフラッシュバックの哀切さを高めることに一役買っている。作品のテーマをなす光と影の対立は、本作の照明設計にも大いに反映されている(冒頭と掉尾を燦々と照らす太陽と、メフィスト召喚の際の夜空に浮かぶ満月は象徴的である)。

伊藤 弘了
映画研究者=批評家


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上映日:6/23(木)
タイトル:『サンライズ』
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第1回アカデミー賞を受賞したメロドラマの傑作

サンライズ1

監督:F・W・ムルナウ
出演:ジョージ・オブライエン、ジャネット・ゲイナー
制作・時間:1927年・アメリカ・108分
作品解説:真面目で妻思いだった農夫が、都会の女に誘惑され堕落する。彼は愛人に唆され妻を殺そうとするが、土壇場で思いとどまる。一方、純真な妻は、夫が自分を殺そうとしたことにショックを受け、泣きぬれる。夫は激しい後悔の念に苛まれて改心し、妻も夫を許すが…。
巨匠ムルナウ監督の代表作。物語はシンプルながら、ロマンスやラブコメディ、サスペンス…と色々な要素が散りばめられたサイレント映画史に残る傑作の一つ。第1回アカデミー賞芸術作品受賞、主演女優賞、撮影賞受賞。第5回キネマ旬報ベスト・テン外国映画部門第1位。

ムルナウがハリウッドで最初に手がけた作品。第一回アカデミー賞では芸術映画賞、撮影賞、主演女優賞(ジャネット・ゲイナー)を獲得した。しばしばサイレント映画の最高傑作のひとつに数えられる。映画がサイレント期にすでに「完成」していたことを教えてくれる珠玉の一本である。序盤のシリアス&サスペンス展開から、中盤には突如ラブコメに突入して、最後は大メロドラマに雪崩れ込むという盛りだくさんの内容となっている。映画のほぼ中盤に祝福の鐘の音が鳴り響くシーンがあるが、おそらくその画面の内容と完璧に一致するであろう生伴奏に注目されたい。

伊藤 弘了
映画研究者=批評家


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F・W・ムルナウとは
■フリードリヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ(1888-1931)
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F._W._Murnau
ドイツの映画監督。幼少期よりニーチェやシェイクスピアに親しみ、大学では文学と美術史を専攻。

1919年『青い少年』で監督デビュー。1922年の『吸血鬼ノスフェラトゥ』が評価され、中間字幕を排した『最後の人』(1924)で国際的な名声を確立した。
1926年、予算無制限という条件で『ファウスト』を撮り終えた後、フォックス社に招かれ渡米。渡米後第1作『サンライズ』(1927)は、第1回アカデミー賞で最多部門を受賞。サイレント期を代表する古典的名作として高く評価されている。

ムルナウの作品が後世に与えた影響は甚大である。

ドイツ表現主義を代表する映画監督の一人。マックス・ラインハルトのもとで舞台俳優や演出助手の仕事を経験し、第一次世界大戦中の従軍を挟んで、復員後に映画界に転身する。
ムルナウの作品が後世に与えた影響は甚大である。たとえばフランスを飛び出して世界を席巻したヌーヴェル・ヴァーグの面々もその例外ではなかった。
エリック・ロメールとクロード・シャブロルはヒッチコック、エイゼンシュテインとともにムルナウを「全映画史の中で最も偉大な、形式の発明者の一人」に数えている。また、フランソワ・トリュフォーが『サンライズ』を「世界一美しい映画」と評したことはよく知られており、ジャン=リュック・ゴダールは『映画史』(1988-98)のなかでムルナウの『吸血鬼ノスフェラトゥ』『ファウスト』『サンライズ』などを引用している。

伊藤 弘了
映画研究者=批評家


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演奏者
■鳥飼りょう
[show_more more=”演奏者詳細へ” less=”閉じる” color=”navy” list=”»»” size =”120″ ]
鳥飼さん
サイレント映画専門の楽士。
ピアノ、パーカッション、トイ楽器等を演奏。
2012年、Planet+1で大森くみこが活動弁士を務めるユニット「深海無声團」のパーカッショニストとしてデビュー。その後2015年に、神戸映画資料館でピアノのソロ伴奏デビュー。全ジャンルの映画に即興で伴奏をつけ、これまでに伴奏した作品数は500以上。映画に寄り添うその演奏は好評を博し、国内外の映画祭や劇場等での伴奏上映に多数出演。
2021年、ピアノを常設する映画館を巡る全国ツアー「ピアノ×キネマ」を開催。
定期上映としては、Planet+1の「映画の樹シリーズ」(2015年~)、元町映画館の「SILENT FILM LIVE」(2018年~)、第七藝術劇場・シアターセブンの「アフター・リュミエール」(2021年~)でそれぞれ伴奏を担当(いずれも現在継続中)。
さらに、キネプレと連携した上映イベント「キネピアノ」にも積極的に取り組んでおり、現在最も上映会で演奏する楽士のうちの一人として関西を中心に活動している。
無声映画振興会代表。
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キネピアノへの業界人の声
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予告編

詳細情報

■開催日程・上映作品
6月20日(月)18:45~
 上映作:『吸血鬼ノスフェラトゥ』(95分)

6月21日(火)18:45~
 上映作:『最後の人』(89分)

6月22日(水)18:45~
 上映作:『ファウスト』(107分)

6月23日(木)18:45~
 上映作:『サンライズ』(108分)

■料金
各回一般2,000円、TCGメンバーズカード会員1,800円、学生1,000円

■チケット購入について
チケットはテアトル梅田のホームページ(https://ttcg.jp/theatre_umeda/)で6/14(火)17時から、劇場窓口で翌日の営業開始以降ご購入いただけます。

■映画館
テアトル梅田
大阪市北区茶屋町16-7 梅田ロフト B1F)

■開催団体
主催:キネプレ・無声映画振興会
協力:テアトル梅田
ポスターフレームアート:カズ・オオモリ

■サイト
テアトル梅田
無声映画振興会