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平日も満席でナートゥダンス! 塚口で『RRR』マサラの3Rが開催

ヒット中のインド映画『RRR』の紙吹雪・クラッカー・ダンスあり(無発声)のマサラ上映が、兵庫県の塚口サンサン劇場で1月16日(月)昼に開催。満席の観客が訪れ、興奮の映画体験を楽しんだ。

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マサラ上映に参加した観客たち(撮影許可済)

※配給会社ツインに写真監修と撮影許可を頂いております。

『RRR』は、2022年に公開されたインド発の映画。監督は、『バーフバリ』シリーズのS・S・ラージャマウリ。1920年代のイギリス植民地下のインドを舞台に、英国軍に立ち向かう二人の青年の友情と選択、使命、戦いをダイナミックなアクションと重厚な物語で描いている。

日本での公開後、口コミや著名人の絶賛により人気が拡大。これまでインド映画の日本での最大興行収入は『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1998年日本公開)だったが、それを超えて日本での最大ヒットのインド映画となった。
さらに2023年1月の第80回ゴールデングローブ賞では、劇中の「ナートゥダンス」の楽曲がオリジナル歌曲賞を受賞。さらに人気が過熱しており、日本でも新たに上映する劇場を増やしている。


今回開催された「マサラ上映」とは、そんなインド映画でよく行われる「クラッカーを鳴らしたり紙吹雪をまいたりしながら観る」鑑賞スタイルのこと。日本の大阪で始まったイベントで、2000年代以降、多くのインド映画で開催されており、人気を博している。
マサラ上映が人気の映画館の一つ、塚口サンサン劇場でも、この『RRR』に合わせてマサラ上映を開催。2022年11月26日(土)、12月10日(土)につづいて3回目の開催となる。過去2回は、チケット発売後1分足らずで完売という人気ぶりだったが、今回は「土日になかなか行けない人たち」のために、月曜の昼という異例の開催。それでも満席の観客が訪れ、盛況となった。

劇中曲になぞらえて「塚口ナートゥ」と呼ぶこのイベント上映では、紙吹雪・クラッカーはOK、コロナ禍のため発声は禁止(マスクも着用)。だがいち早く「劇中のナートゥとエンドロールではダンスOK」というレギュレーションを設定。「ナートゥダンスを一斉に踊れる劇場」として全国のRRRファンの中でも話題になっていた。

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前説でマサラ上映とナートゥダンスについてガイドする戸村さん

当日、塚口サンサン劇場には多くのファンが来場。主人公二人やヒロインなどのコスプレ姿の観客も多く訪れた。

同館イベント上映の名物の一つ、「前説」も健在。同館の戸村文彦さんが壇上に立ち、マサラ上映のガイドラインの案内と、ナートゥダンスのアドバイスを行った。
戸村さんが「今回塚口のマサラ上映初参加の人は?」と聞くと、ほぼ半数の方から挙手が。中には初めての『RRR』鑑賞者もおり、周りのリピート鑑賞者からは、あたたかい歓迎の拍手が贈られた。

上映途中では、紙吹雪・クラッカーがふんだんに使用された。
特に、水のイメージを背負ったビームの活躍シーンでは青色の、炎のイメージを背負ったラーマのシーンでは赤色の紙吹雪が多く舞い、銃声や轟音・爆発の時にはクラッカーがタイミングよく鳴り響くなど、観客たちはスクリーンを飛び出した立体的な映像体験を楽しんだ。

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ナートゥとエンドロールのダンスOKは第3回の今回も実施。全員がスタンディングで参加する中、戸村さんは通路を通りながら実際に踊り、観客席をわかせつづけた。

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劇中のナートゥバトルを全員で体験
※配給会社ツインに写真監修と撮影許可を頂いております

エンドロールでは、途中でラージャマウリ監督登場の瞬間には、ファンから大きな拍手が炸裂するなど、興奮は最高潮に。
上映後の片づけ掃除には、多くの観客が残って参加。スタッフと一丸となって紙吹雪・クラッカーに満たされた劇場を清掃した。

今回初めて塚口サンサン劇場のマサラ上映に参加したという大阪府の女性(20代)は、「自分も含めて初めての人が多いのに、一体感がすごかったです」とコメント。「みなさんの紙吹雪やクラッカーのタイミングもすごくて、3時間があっという間でした。実は『RRR』の鑑賞も初めてだったのですが、とても楽しい時間を過ごせました」と興奮気味に語った。

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今回も多くの紙吹雪が劇場内を舞った

マサラ上映は上映後の片づけが必須のため、基本的にはその日最後の時間帯の上映で行われることが多い。片付けのタイムリミットを心配しなくていいからだが、それだと平日でも夜の開催となってしまう。

だが今回は、平日の昼という異例の開催。この珍しい形を実施したことについて戸村さんは「これまで、なかなか土日のマサラ上映に参加できない人も多く、『平日なら参加できるかも』という声も聞いていました。なので今回、なんとしてでも開催したかったんです。結果的に初めてのマサラ参加の方も多くて、開催して本当に良かったと思いました」と話す。
昼の時間帯に設定したのは、少し遠方の方でも日帰りで参加できるように、という理由からだ。「おかげで、いろんな方の初マサラの機会を作ることができました。日頃なかなか来れない人に、非日常の映画体験をしてほしかったので、それが実施できたのが本当にうれしかったです」と振り返った。

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※配給会社ツインに写真監修と撮影許可を頂いております

当日の写真は、同じく取材に参加していた関西キネマ倶楽部のツイッターでも掲載されているので、そちらもご覧いただきたい。

次回の塚口サンサン劇場での『RRR』無発声マサラ上映は、1月28日(土)を予定している。

詳細情報

■映画館
塚口サンサン劇場
尼崎市南塚口町2-1-1、TEL 06-6429-3581

■サイト
映画『RRR』公式サイト
塚口サンサン劇場
「愛される映画館のつくりかた~塚口サンサン劇場の軌跡と奇跡~」