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2019年04月24日(水)
ゴダールってどんな人? 大阪でジャン=リュック・ゴダール監督解説イベントが開催

数々の名作を世に送り出してきた巨匠、ジャン=リュック・ゴダール監督。最新作『イメージの本』の公開を記念して、大阪のワイルドバンチで4月19日(金)、ゴダールの解説イベント「ゴダールとは誰か?――『イメージの本』鑑賞のための手引き」が開催された。

ゲストは関西大学文学部教授で、ゴダール研究の第一人者の堀潤之さん。今回のイベントではゴダールの前作『さらば、愛の言葉よ』(2014年)の特別上映もあり、上映後に堀さんによる解説が行われた。

堀さんは自身を「ゴダール気狂い」と称して自己紹介。『さらば、愛の言葉よ』上映前に「ゴダールの映画はよく難解だと言われていて、確かにその通りだと思います」と話し「細かいところは感覚で受け止めればいいのではないかと思います」とあまり構えずに観てほしいと呼びかけた。

堀さん自身も数年ぶりに観直したという『さらば、愛の言葉よ』。上映後、長年ゴダールを研究していても「やっぱりかなり訳わからないといいますか、細部までかなりクリアに理解できる人ってゴダール自身も含めていないと思うんですね」と感想を述べた。
内容は難解でも、ゴダールの半世紀に及ぶキャリアを貫く2つの要素が見えると堀さんは言う。1つはテクノロジーを通常とは違うやり方で使うこと。『さらば、愛の言葉よ』は本来3D映画で、通常はきれいな立体に見えるよう2つの映像の視差を使うところを、ゴダールはあえて右目と左目で違う映像になるシーンを作っている。

堀さんはゴダールが過去に他の映画監督が見向きもしなかったビデオ撮影を70年代初頭に活用したこと、世の中がデジタル全盛期の作品『ゴダール・ソシアリスム』(2010年)では鮮明なデジタル映像の中に、加工したものや、わざと低画質で撮った映像を組み込んでいることを紹介し、ゴダールが常に規範に抗う手法で映画を作り続けていることを示した。
もう1つは映像や台詞に引用を多く用いること。これはゴダールの最初期から見られる特徴なのだそう。「台詞に組み込まれるかたちから、全編が引用で成り立っているのまで様々ですが、引用が全くなされていない映画はたぶんないと言えます」と堀さんは語る。

1930年生まれで、88歳にして今なお新作を発表し続けるゴダール。トーク途中では、彼のフィルモグラフィーの解説も行われた。
堀さんによると、ゴダールが映画を観て批評を書くようになったのは1950年前後で、そのころの映画は「大体が古典映画で、成熟しているけれど同時に行き詰りかけている状態。ゴダールは不満を覚えて、やがて古典映画を破壊しつつ再創造するような映画を作り始める」と解説。ヌーヴェル・ヴァーグの旗手として、60年代には『勝手にしやがれ』(1959年)や『気狂いピエロ』(1965年)といった傑作を繰り出すなど華々しく活躍していくことになるという。

その後、政治的な映画製作をしていた時代を経て80年代に再び商業映画に復帰。この頃の作風は物語映画を撮っていた60年代とは違い「物語はあるけれど、だんだん物語は口実になってきて。さっきの作品(『さらば、愛の言葉よ』)に近い感じです」と現在に繋がる変化があると語る。
堀さんはこの時代の作品が気に入っているそうで「物語はクリアにわからないけれど、映像と音の接合や切り離しが一番冴えわたっている」と話し『カルメンという名の女』(1983年)や『右側に気をつけろ』(1987年)といった作品をあげた。参加者も堀さんが作成した資料を見ながら、時折メモを取ったり、知っている映画が紹介されるとうなずいたり、真剣に聞き入っていた。

ゴダールtop
新作の『イメージの本』

最後は新作の『イメージの本』について鑑賞の手引きが。
堀さんは「『イメージの本』はほぼ全くストーリーはなく、あるテーマに沿って映像と音と台詞のコラージュが続いていく作品です」と紹介。1つ10分くらいの5つのセクションと後半の40分ほどを占める「幸福のアラビア」というセクションから成る映画だとのことで、「5本の指とそれを合わせた手から構想された」といい、「この5プラス1という構造を意識すると見やすいと思います」とポイントを解説。
映画全体がゴダールの特徴の「引用」から成る作品だが、後半のセクションでは多くの映画を新たに観て引用しており、堀さんは「ゴダールがこれまで自分で使っても観てもいない映画を、80代後半にして新たにたくさん観て自分の世界を広げようとしているのは感嘆すべきことだと思います」と姿勢を称賛。「ゴダールの新機軸ということで、これまでのゴダールからは想像もつかないようなものが見られると思います」と締めくくった。

映画『イメージの本』は4月26日(金)より大阪のテアトル梅田で、4月27日(土)より京都シネマで公開予定。5月10日(金)からは兵庫のシネ・リーブル神戸でも上映。


映画『イメージの本』予告編

詳細情報
■上映日程
・テアトル梅田
 4月26日(金)~

・京都シネマ
 4月27日(土)~

・シネ・リーブル神戸
 5月10日(金)~

■映画館
テアトル梅田
大阪市北区茶屋町16-7梅田ロフトB1F、TEL 06-6359-1080

京都シネマ
京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地COCON烏丸3F、TEL 075-353-4723

シネ・リーブル神戸
神戸市中央区浪花町59神戸朝日ビルディングB1F、TEL 078-334-2126

■サイト
映画『イメージの本』公式サイト
テアトル梅田
京都シネマ
シネ・リーブル神戸
「ワイルドバンチ」(キネプレ内ページ)



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