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2018年10月10日(水)
「ビューワー・ビューワー」第6回 時間に間に合わないと見れないのが映画(藤澤さなえ)


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「彼氏はスクリーンに近い席が好きで、私は遠い席が好きなの。映画に行く時はいつもどこに座るかでケンカするから、もう行かないようにしているの」
ある人からそんな話を聞いた時に思い出した私の体験談をひとつ……。映画って気兼ねなくいく場所なんだなって再認識したって話です。
私には、高校時代からつるんでいる友達たちがいます。男も女もいる、10人弱の大所帯の友達グループで、もともとは麻雀をするための集まりでした。
この仲間たちの最大の特徴は「なにかにつけルーズである」。これです。
「●時から○○ん家で麻雀しよー」と声をかけても、約束の時間に4人揃う方が珍しいってかんじです。それなら仲間全員に声をかけておいて、4人集まったら始めるとしたほうが手っ取り早い……という何ともルーズな理由からメンバーが10人弱まで膨れ上がった始末です。私も、基本的には待ち合わせ時間を守るタイプですが、この集いでは遅刻もまぁ許されると思って、のんびり出発することがよくあります(笑)。
そんな仲間たちとは、高校時代には麻雀を、大学時代は花火や初詣などのレジャーを、社会人になってからは誰かの家で鍋パーティなどで集まっては遊んでいます。ただ、とにかくルーズなので、遊ぼうと呼びかけても出欠や希望の時間帯などの返事がまったく集まりません。なんだったら当日まで何人が参加するかもわかりません。やっと参加人数の確認がとれて、いざ遊ぼうという時には予定の時間を2時間も過ぎている……なんてことはザラです。二年参りのはずが元旦の深夜1時に神社にたどり着いたこともあります。
今やスマホアプリのグループチャットで簡単に連絡がとれる時代になりましたが、この仲間たちのルーズさは全く変わっていません(笑)。

話を映画に戻しましょう。
こんなルーズな仲間たちですから、集まる場合は時間に左右されない企画になるのがほとんどです。それが先日、メンバーの1人である女友達(仮にA子ちゃんとする)が「みんなで『ダンケルク』って戦争映画を見に行かない?」とグループチャットで呼びかけてきたのです。

ダンケルク

映画!? このメンバーで映画だと!?

「IMAXで見たいから、事前にチケット予約しておこうと思うの。××日に予約するから、行きたい人は連絡ちょうだいね」と。

いや、無理でしょ……。

正直、いける気がしませんでしたよね、ルーズな奴らしかいませんからね!
映画は、決まった時間に決まった場所に行かなければ見られないものです。ひとりでふらっと見に行くならまだしも、誰かと行くなら待ち合わせの場所、時間、チケットの手配と入念な下調べと準備が必要です。そんな高度(?)なことをこのメンバーでできるでしょうか、いやできるはずがない!
でも発起人のA子ちゃんは時間をしっかり守るタイプだし、クリストファー・ノーラン監督の映画には興味がありました。ので、私は早々に「参加する」と手をあげたのです。
じゃあ他のみんなはというと……「面白そう~」なんて呟きのような書きこみはあるものの、参加の意思表明がなされた書きこみはナシ(笑)。結局予約締切日を過ぎても希望者は増えなかったので、私とA子ちゃんの2人で行くかたちになりました。
……が、映画に行く前日になると「明日、暇になったんだよね」「やっぱり行こうかな」という駆け込みの参加希望者が……。絶対こうなると思っていましたが、案の定でした(笑)。でももうチケットはとっちゃった後だし、「今更無理だよ」という流れになるのかな、と私は思っていました。ところが、A子ちゃんは、

「じゃ、明日△△劇場の13時の回だから、来たい人は勝手に来て」

と、返事をしたのです。
勝手に行くってなんだ!? そんなラフでいいのか!?
と思いつつ、当日、私はA子ちゃんときちんと待ち合わせをし、映画館のロビーで上映時間を待ちました。その間に仲間の一人がふらっと登場。「あの回だよね~」と確認をとってチケットを買いに行きました。当然、座席は離れた場所でひとり鑑賞です。
そうこうしているうちに開場したので、私たちは劇場内へ。明かりが落ち、CMや新作映画のトレーラーが流れ始め……たギリギリの頃に、またひとり仲間が登場。暗がりの中、私たちを見つけて手を振り、隅っこの席に座りました。もちろん、ひとり鑑賞です。
そして始まる映画『ダンケルク』。人生初のIMAXは、スクリーンの大きさ、音の派手さにめちゃくちゃびっくりしました。船に入り込むダイナミックな波の映像は映画館にいるのを忘れそうなくらいにすごかったし、遠くで響く銃声や、戦闘機が通り過ぎる音なんかは、本当にそれが迫ってる気がして肌がびりびりしました! もちろん物語の展開も激しく、勢いがあって、夢中になって鑑賞しました!

鑑賞後は、適当なカフェに入って4人で感想戦をしました。そりゃあもうすごい映画だったので、話が尽きないこと! 気づけば2時間くらい話し込んでいて、何度も何度も「すごかったね」を繰り返しました。
で、そこで気付いたのですよ。並びの席ではなかったけれど、全員おんなじ映画を観てたんだなって。みんなで揃って何かをする、となると入念な下準備やチームワークが必要と思ってましたが、映画だと見る回さえ決めておけば簡単に集まれるんだな、と。むしろ絶対見たいから遅刻もないし、鑑賞後は必ずメンツ揃って行動できるわけですし、いいことしかないなって。
映画館に行くようになってそれなりに時間が経ちましたが、まだまだ映画館に対して鯱張ってたんだな、と。誰かと遊ぶ時には、もっと気軽に映画鑑賞を選択肢に入れていいんだな、と。そんな風に思いました。

だからさ、別にカップル揃って席をとる必要もないんじゃないかな、と思ったのですよ。さすがにカップルだとそうはいかないかな?

執筆:藤澤さなえ
2002年、大学在学中から創作集団グループSNEに所属。2004年に『新ソード・ワールドRPGリプレイNEXT(富士見ドラゴンブック刊)』シリーズを発表。以来、アナログゲームを中心に小説、リプレイなどを多数刊行してきた。他にもゲーム記事、シナリオのライティング、エッセイ、漫画のネーム執筆、TRPGのディレクティングなど活動は多岐にわたる。2017年に独立し、現在はフリーランス。趣味はもちろんゲーム全般。


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