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映画館から一歩外へ(シネ・ヌーヴォ)

シネ・ヌーヴォからの寄稿です)

山崎紀子

大阪九条にあるミニシアター、シネ・ヌーヴォは多様な映画を上映しているが、特集上映の映画館とも言える。
昨年は生誕百年今井正特集、世界初の木下惠介監督全作品上映、相米慎二監督特集、足立正生特集、矢崎仁司特集、ロシア・ソビエト映画特集、インド映画祭、ブラジル映画祭、ポーランド映画祭などが新作映画と並んで上映された。
ここにいるだけで、時間も距離も飛び越えて世界中どこへでも行くことができる。映画館にこもり状態になるのも悪くはないし、幸せなことだと思っている。


シネ・ヌーヴォ場内

毎月第三日曜日にシネ・ヌーヴォ近くの喫茶店ケルンで行われているシネ・クラブ合評会。シネ・クラブ会員さんがシネ・ヌーヴォオープン以来自主的に開催してくれている。
そこへ、これから製作に携わることになった16mm劇映画『月夜釜合戦』という、西成・釜ヶ崎を舞台にした人情喜劇の宣伝をさせて頂けることになり、お邪魔してきた。
シネ・クラブ合評会は、毎回3作品ほどを決めて、参加者でその映画について話すというスタイルで、1作目は昨年末から今年にかけてシネ・ヌーヴォで上映した木村文洋監督『愛のゆくえ(仮)』。私自身、作品に惚れ込んで上映を希望した作品だった。好き嫌いや、思わぬ拾い物だったこと、録音など技術的なこと、何故その人が観なかったかの理由まで、様々な意見が飛び出し、観客の映画に対する熱意を間近に感じることが出来た。

「シネ・ヌーヴォは観客と近い映画館」との自負はあったけれど、カウンター越しでない会話にワクワクした。完成した映画を上映する映画館で11年働いてきたけれど、初めて映画の製作に参加することになった今、映画館から一歩出た感触はとても新鮮だった。


『月夜釜合戦』

『愛のゆくえ(仮)』公式サイト
http://teamjudas.lomo.jp/aikari.html
『月夜釜合戦』公式ブログ
http://kamadoro.com/