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「自分がかっこいいと思った大阪の街で映画を作っている」『コーンフレーク』磯部鉄平監督インタビュー

大阪を舞台に撮影された恋愛映画『コーンフレーク』が、2月11日(土)より大阪・九条の映画館「シネ・ヌーヴォ」で上映される。

大阪在住の映画監督・磯部鉄平さんに、映画作りや意気込みについてお話を伺った。


■2/10 追記
同作のロケ地であるビルの屋上や、卓球カフェ&バー パレット 本町店での写真を追加しました!


磯部鉄平監督(右)と嶋田裕紀店長(左)

ロケ地の一つ、ビルの屋上で

――『コーンフレーク』は先日より東京の池袋シネマ・ロサで公開されていましたが、劇場公開時のお客さんの反応はいかがでしたか?

磯部監督:結構いろんな方に観ていただけて、うれしかったです。評価も悪くなくて、とくに若い女性から高い熱量の反響もありました。作品を観た後に「あの女性はまさに私なんです」という声もいただきましたし。

主人公2人は7年同棲している男女で、その周辺にも同世代の人たちを描いているんで、何かしら共感していただく人物がいたんだろうなあと思っています。

コーンフレーク1

――磯部監督は、過去の作品でも、大人になった人たちのモラトリアムや、決断しきれない人たちの物語をやさしく描いてきたと思うんですが、そもそもどのような経歴で映画監督になったんでしょうか。

磯部監督:大阪で生まれ育って、もともとは調理師免許を持って働いていたんです。映画は好きだったけど、映画作りとは無縁の生活を送っていました。でもいつか映画が作りたいなあ、なんて思いながらダラダラしていたような20代後半でしたね。実はこのあたりの実体験が、この『コーンフレーク』には色濃く反映されていたりします。

ただ、やっと映画に関わりたいと思って、ビジュアルアーツ専門学校大阪の夜間部に通い始めたのが30歳頃で、卒業してからは映画や映像のスタッフとして動いていました。

その中で、自分で監督をやろうと思って作品を作り出したのが2016年。最初は短編を1年間に4本撮って、そのあと長編にチャレンジし始めました。普段は大阪に住んでいるんで、大阪で撮影することも多いですね。

コーンフレーク3

――今作も、そんな大阪でたくさん撮影されています。

磯部監督:ロケ撮影が多いのも僕の特徴なんですけど、大阪のいろんな場所で映画撮ってますね。普段自転車で大阪市内を走ることも多くて、その自転車で行っている範囲に役者やスタッフを呼んで撮っているようなものです(笑)。

何より、大阪の町並みはかっこいいなあと思っていて。都会にすぐ行けて、川もたくさんあって、一方で下町らしさもある。でもおしゃれな中之島にもすぐ行ける。道頓堀とか新世界とかの「大阪コテコテ」の場所じゃなくて、大阪の街をそのまま撮りたいなあと思ってます。

そんな大阪はロケの妄想がすごくはかどります。ある意味普段の生活をしながらロケハンしているようなもので(笑)、下見も終えている場所で、「じゃあここがかっこいいから撮ろうか」ってやってますね。

コーンフレーク4

――今回はそんな大阪での凱旋上映で、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで2週間上映されることになりました。

磯部監督:シネ・ヌーヴォはすごく好きな映画館の一つです。学生の時にたくさん映画を観に行ってました。そこで観た映画たちが僕の映画の教科書になっている気もします。

そんなシネ・ヌーヴォで最初に僕の作品が2021年に上映されたんです。短編特集が主で、『コーンフレーク』も1回だけ上映されました。

シネ・ヌーヴォには、舞台あいさつに登壇した映画監督・俳優たちがサインを残していく名物の壁があります。そこにはそうそうたる映画人の名前が記されていて、いつもお客で行くたびにそれを見てテンション上がってたんです。その壁を眺めているのがたまらなくいい時間でした。

そんな憧れの壁に、その短編特集上映の時、サインしたんです、この僕が(笑)。いやあ、うれしかったですね。

今回の『コーンフレーク』で自分としては2回目の上映が果たすことができて、うれしさもひとしおです。

コーンフレーク5

――では最後に、この作品について意気込みなどあれば教えてください。

磯部監督:もともと「二択が嫌だ」と思ってました。例えばカップルの話になったときは「付き合うか、分かれるか」、青春の話をするときに「夢を追うのか、あきらめるのか」、将来の話をしたら「仕事を頑張るのか、辞めるのか」とか、そんなパキッとしたことばかりだなあと思っていたんです。でも現実はそこまで割り切れないですよね。どちらかをいったん選んだけど、うまくいかなくて落ち込んだりもしますし。

それよりは、「三つ目の選択肢」というか、「二択のまんなかにもう一つ、ふわっとした選択」があるんじゃないか、と思い、それを映画にしたくて作りました。

『コーンフレーク』では僕の実体験も反映した裕也と美保の20代後半同棲カップルが、現実と理想を天秤にかけながら過ごしていく日々を描きました。観ていただいた人が普段の生活に少しでも勇気を持っていただけるとうれしく思っています。映画館で待ってます!

――ありがとうございました。

映画『コーンフレーク』は、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで2月11日(土)から上映予定です。

映画『コーンフレーク』予告編

詳細情報
■日程
2/11(土)~24(金)
 11(土)~13(月)19:40~
 14(火)~17(金)19:50~
 18(土)~24(金)16:00~

■映画館
シネ・ヌーヴォ
大阪市西区九条1-20-24、TEL 06-6582-1416

■サイト
映画『コーンフレーク』公式サイト
シネ・ヌーヴォ