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舞台あいさつが苦手な監督たち。

いろいろな映画監督の舞台あいさつを取材してきましたが、
なかには
「いやあ、あいさつなんて照れくさくてねえ・・・」
なんて人もけっこういました。

もともと映画をつくる仕事に、「スピーチする」のはふくまれていません。
だからたどたどしいのはむしろ当然なんですが、
大体の人がそれでもがんばって、いろんなことを話そうとしている。
「監督に登場していただきましょう!」
という呼び込みのもと、拍手で迎えられ、多数の観客の前にさらされ
ても、必死に言葉を紡ごうとする。
そんな人たちが多いなか、
「いや、わたしにはムリ」と言いきる人もいます。

でもそういう人に限って、作品は力強かったりする。
言葉にはできないけど、観ている人の何かの感情を、ぐわっと強力に
つかんできたりするんですよねえ。

まあ“映画監督”ですからね、やっぱり話したいこと、伝えたいことは
「映画で語る」のが一番じゃないかなあ。
トークでは雄弁だけど、作品はちょっと残念、なんてことになれば、
本末転倒でしょうし。
だから、
「トークは苦手だ、作品を観てくれ、それがすべてだ」
なんていう人は、むしろ信用が置ける気がします。

「映画以外で語れるなら、映画なんかつくっていない。
映画でしか表現できなかったら、映画をつくった」
そんなすがすがしい言葉も、もっと聞きたいもんです。