塚口サンサン劇場の改革10年を記した人気連載! 書籍も発売中!

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近くの客も、遠くの客も。

ある劇場で、大好評を博したイベントがありました。
そのときは一回限りの開催だったんですが、開催前からすでに「追加で開催する予定はないのか」という問い合わせが多くあったそうです。
それについてその劇場の方に聞いてみました。
するとこんな答えが。
「要望は多くいただいていて、それはすごくありがたいんですが、追加開催はやりません。
この一回のためだけに、わざわざ予定を調整して来ていただいた方もいますから」

また、別の日にはこんなこともありました。
あるアニメーターの方は、いろんなイベントで手描きのイラストを販売されています。
その価格を、ある催しに際して「値下げできないか」と相談されたとき。
こんなことをおっしゃったそうです。
「値下げできないことはないんです。
原価はあってないようなものですし。
でもずっと前からこれでやっているので、値下げしてしまうと前に買っていただいた方に申し訳ないんてす」

共通しているのは、目先の利益に飛びつかず、長い目で見て、ちゃんとお客さんを大事にしている姿勢。
身近な声だけを優先するのでなく。
声は聞こえないけど楽しみにしてくれている遠くのお客さんのことも、1人1人しっかり考える。
近くの人も、遠くの人も、おなじ1人のお客さんとしてとらえる。

エンタメ商売って、そういうことだと思うのです。