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カタラシテーナをめぐるお話(中)。

今年4月にカタラシテーナを初披露した時、題材にしたのはキネプレがコラボしたショートムービーでした。
短編2本を上映して、そのあとに鑑賞客の皆さんと遊んでみたのです。

じつは、作品をつくった監督たちもその場にいたのですが、面白いなあと思ったのは「監督そっちのけでたくさんの話題がひろがった」ことでした。
ふつう監督がいると、トークの話題はやっぱり監督の作品への思いや、撮影の裏話などになりがちです。
でもカタラシテーナの時はちがいました。作り手に遠慮せず、あーだこーだとたくさん意見が出る。

それが妙に「いい感じのほったらかし」に見えたんです。
作品が作り手を離れて、はじめて観客のものになった。
そう言えるかもしれません。

ぼくは前、こんなことをツイッターでつぶやきました。

「最初はぴんとこなかった映画でも、一度カタラシテーナを挟むと、なんていうかその“土がちょっと掘れてくる”んです。温泉を発掘する感じ」

作品をぼくらの手元に引き寄せ、隣のひとたちと一緒になって土を掘る。
そんとき湧き出てくるものは、たぶんきっと、ちょっとあたらしい楽しみ方なのだ。