塚口サンサン劇場の改革10年を記した人気連載! 書籍も発売中!

連載コーナーはこちら

春、映画館で出会う(第七藝術劇場)

第七藝術劇場からの寄稿です)

ついこの間年が明けたと思ったらいつの間にやら春うらら、4月ですね。
こんにちは、十三・第七藝術劇場です。

新生活の始まりです。新しい環境や新しい人たちに出会い…まあ、そう変わらないという方もたくさんいらっしゃると思いますが、桜の木々がパァーッとにぎやかに花開くだけでウキウキと心が踊る、そんな季節です。
“出会い”という点において、映画館はとても似合いのステージだと思います。もちろん“映画作品”との出会いは言わずもがなで、まずやはり“映画館”という場所。映画館のロビーというのは、独特の空気がありますね。スクリーン会場からかすかに漏れ聞こえてくる音楽をBGMに、次の映画の開場を待つお客さまたちは、ひそやかな佇まいでありながらも、これから始まる映画へのチリチリとした種火の様な期待を持っているのを感じます。

そんな気持ちを抱えた“お客さま同士”の出会いがあるのも、映画館のいい所かと。全くの他人だった人たちが、ふとロビーで
「この映画、◯◯でしたねぇ〜」「あそこが…」
と会話が弾んでいったり、何の待ち合わせをしたでもないのに、偶然同じ映画を見に来て笑顔でバッタリ出会ったりする様子を見ていると、本当に楽しそうでうらやましくなる程です。

また、ぜひ目を向けていただきたいのは、劇場内にある掲示物や販売しているグッズなど。
最近、当館の文字通り新しい顔として出現した、故・若松孝二監督の壁画や、古本屋さんからお預かりしている映画関連の書籍(掘り出し物が見つかるかも!)、オーガニック・エコロジー商品専門店さんからの雑貨も色々(これが根強い人気なんです!)。
と、いうように“映画館”と一口に申しましても、映画を観るだけでなく色々な楽しみがありますのを感じてもらえましたら幸いです。

もちろん!映画は大本命でおすすめなのですが、春、卒業、4月の郷愁にピッタリなのがこちらです。
三宅唱監督。村上淳、渋川清彦、三浦誠己出演の映画『Playback』。以下、HPより抜粋。

仕事の行き詰まりや妻との別居など、40歳を手前に人生の分岐点に立たされた映画俳優ハジ。だがすべてが彼にとっては、まるで他人事のようだ。彼を良く知る映画プロデューサーは再起のチャンスを与えようとするが、まともに取り合おうともしない。そんなハジが旧友に誘われ、久しぶりに故郷を訪れる道中、ある出来事が起こる。居眠りをして目覚めると、なんと大人の姿のまま制服を着て、高校時代に戻っているのだった……。
現在と過去が交錯し、反復されるその世界で、果たしてハジは再び自分の人生を取り戻せるのだろうか。

美しい画面に映し出される渋い男の魅力…。モノクロ作品なのですが、時折フッとカラーに見える、不思議な感覚をぜひ劇場で味わっていただきたいです!


『Playback』(c)2012 Decade,Pigdom

もちろん、映画を見ずとも、劇場に遊びにきていただくだけでも大歓迎です!
この春、いつものあの人、新しく出会ったあの人と、足をお運びいただけるのを心よりお待ちしております。

映画『Playback』公式サイト
http://www.playback-movie.com/