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映画の作り手たちが激論! 大阪でトークバトル

杉野希妃さん、深田晃司さん、板倉義之さん、島田角栄さん、木村文洋さんという5人の映画の作り手が集結し、映画の未来について語り合うトークバトルが、12月23日(日)に開催された。場所はビジュアルアーツ専門学校大阪。


未来を担う監督たちが勢ぞろい

「日本映画のミライ&ミライの世界映画」というテーマで、新進気鋭の作り手たちが、熱いトークを繰り広げた。

当日登場したのは、映画監督やプロデューサーなど5人。
海外との映画制作を積極的に行っているプロデューサー兼女優の杉野希妃さん(最新主演作『おだやかな日常』が公開中)、東京国際映画祭など多くの映画祭で高い評価を受けた『歓待』の監督・深田晃司さん、阪神大震災の10年後を描いた『にくめ、ハレルヤ!』などの板倉義之さん、『デストロイ ヴィシャス』などのパンク映画の製作をつづけ、最新作『冴え冴えてなほ滑稽な月』が来年公開される島田角栄さん、『へばの』で話題を呼び、現在はオウムの平田信逃亡犯をモチーフにした『愛のゆくえ(仮)』が上映中の木村文洋さん。

大きな拍手で会場に迎え入れられた5人は、じゃんけんで最初の自己紹介の順番を決定。それぞれが過去作や現在上映中、制作中の映画について紹介し、スクリーンで予告編の上映も行った。


順番決めで「じゃんけんほい」

その後は、それぞれの映画への思いや、制作から上映までの道のりをどのように行っているかということをテーマにトークを展開した。

板倉さんは、最初は別の進路を志していたが、大学入学後に「映画ってもっと気軽に撮れるんだ」と思い、映像制作の道に入ったという話を披露。映画制作から上映まで自前でおこなってきたという木村監督は、今作『愛のゆくえ(仮)』の制作費・宣伝費にも言及。その低予算の中でやりくりしていく様子が、来場客を驚かせた。


シェークスピアを題材にした映画を企画中という板倉さん

『愛のゆくえ(仮)』が公開中の木村さん

インディペンデント映画の製作や上映環境を整えるためのNPO法人「独立映画鍋」を運営してる深田さんは、「デジタル環境の充実で、映画作りを志す人が大きく増えました。でも多くの作り手は、プライベートを切り売りしながらやりくりしている。そういう状況を少しでも変えたいと考えています」と話した。
杉野さんは、なぜ役者とプロデューサー両方をやっているかという話を披露。海外に留学していた経験から、「日本でももっと、役者が行動的になってもいいのでは」と考え、 「自分の出た映画をもっと多くの人に知ってもらうよう」プロデュースの活動を始めたという。


「魂を切り売りする人が多い、その状況を変えたい」と話す深田さん

主演作『おだやかな日常』が公開中の杉野さん

島田さんは、「好きな役者、好きなスタッフと映画を撮っている」という。「アナーキーな作品が多いので、配給が付かないことが多いですね。だから基本、自分たちで何とかやっています」と話した。


「10年後も映画を撮り続けていますね、おれは」と話す島田さん

その後は、海外での映画の展開や、配給会社・宣伝会社と一緒にやっていくこと、そもそも「映画を見せる」とはどういうことか、など話題がどんどん広がった。途中、監督同士や観客と意見を投げ合う場面もあり、白熱したトークが繰り広げられた。


参加者たちが5人のトークに聞きほれた

『おだやかな日常』は現在、シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、元町映画館で上映中。
『愛のゆくえ(仮)』はシネ・ヌーヴォで上映中、来年1月19日(土)から京都みなみ会館で上映予定。
『冴え冴えてなほ滑稽な月』は来年公開予定。

■サイト
『おだやかな日常』公式サイト
http://www.odayakafilm.com/
『愛のゆくえ(仮)』公式サイト
http://teamjudas.lomo.jp/aikari.html
『新世界の夜明け』公式サイト
http://shinsekainoyoake.jimdo.com/
『冴え冴えてなほ滑稽な月』公式サイト
http://www.saezaete.com/
未来の担い手が大集結 大阪で監督スペシャルトーク 【キネプレニュース】
http://www.cinepre.biz/?p=3333