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『フタバから遠く離れて』 避難した双葉町民の現状描く

福島県双葉町の人たちの埼玉県での避難生活の日々にカメラを向け、日本の原子力政策について問いかけるドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』(96分)が、12月1日(土)から大阪・十三のシアターセブンで上映される。


『フタバから遠く離れて』監督の舩橋淳さん

町ごと避難した人たちの、生活と感情を映し出した作品が、いよいよ大阪で上映される。

2011年3月の東日本大震災と、それに伴う福島の原子力発電所爆発事故。これにより全面立ち入り禁止の警戒区域となった双葉町は、250キロ離れた埼玉連の高校へ集団避難を余儀なくされた。高校の教室に畳を敷き、共同生活を暮らす人たちにカメラを向け、その実態を切り取りながら、原発事故と国の原子力政策について問いかける。
中でも、原発推進派だった双葉町長の存在が、この映画に一つの力点を添えている。財政破たんした町を救うため誘致した原発が、こうして町民を苦しめている、という現状に悩み、かつての信念が変化していく様を、監督は丁寧に映し出している。


(C)2012 Documentary Japan, Big River Films

舩橋淳さんは、映画監督。大阪出身。東京大学を卒業後はニューヨークで映画作りを学んだ。オダギリジョー主演の『BIG RIVER』(2005)などの劇映画や、テレビドキュメンタリー作品、ドキュメンタリー映画などを多数手がけている。『選挙』『演劇』などで知られる想田和弘監督とは旧知であり、同じルートで映画作りを学んできた先輩・後輩の仲だという。


(C)2012 Documentary Japan, Big River Films

「本当は、避難者の生活に寄り添えるように、もっと時間をかけてこの作品を見てほしい」と話す舩橋監督。96分に短くまとめた後も、そうした「人々の生活」を感じられる部分を残したという。「双葉の人たちの生活と気持ちに寄り添いながら、原子力の未来について考える機会を持ってもらえれば」とも。「タイトルの『遠く離れて』は、2つの意味が込められています。1つは文字通り、遠く離れて避難している、という現状。もう1つは、福島から電力をいただいているわたしたちが、そもそも福島から遠く離れた所に住んでいる、ということ。リスクだけ押し付けて、離れた安全な場所で利益のみを受け取っている、という事実に、もっと目を向けてもらいたい」と話している。


(C)2012 Documentary Japan, Big River Films

十三のシアターセブンで12月1日(土)から上映。初日のみ11時50分からの上映で、上映後に舩橋監督と、ドキュメンタリー映画監督想田和弘さん(『選挙』『精神』『演劇1・2』など)とのトークショーを開催する。

■上映日程
12月1日(土)~28日(金)

■映画館
シアターセブン
(大阪市淀川区十三本町1-7-27サンポードシティ5階、TEL 06-4862-7733)

■サイト
『フタバから遠く離れて』公式サイト
http://nuclearnation.jp/jp/
シアターセブン
http://www.theater-seven.com/