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日本の映画黎明期を、新たな角度から描いた小説が発売 大阪でトークイベントも

日本で初めて映画が上映されるまでの物語を描いた小説『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』が発売された。12月18日(土)には大阪で発刊記念イベントも。

武部フェイドアウト

『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』(幻戯書房)の著者は、東龍造さん。大阪在住のエッセイスト武部好伸さんの小説家としてのペンネームで、今回が初の小説刊行となる。
武部さんは、大阪や映画、ケルト文化、お酒について造詣が深く、これまで様々なエッセイ本を執筆。
その中で、2016年には『大阪「映画」事始め』を上梓した。大阪で初めて映画を上映したという実業家・荒木和一さんの生涯をひもとき、映画界に大きな反響を呼んだ。

その理由は、「日本での最初の映画上映の地」についての考察だ。

今までは、神戸が映画が上陸した場所、京都が最初の映画上映の地で、大阪は「映画興行発祥の地」と呼ばれていた。
神戸はエジソン社が作った、一人で箱をのぞきみるタイプの機械「キネトスコープ」が1896年に初披露されたことから。
京都は、かつて立誠小学校があった場所で、実業家・稲畑勝太郎によって、フランスのリュミエール兄弟が開発した映写機「シネマトグラフ」の上映が1897年の1月に行われた、とされている。
一方で大阪の難波では、そのシネマトグラフが京都のあと初めて有料で上映、つまり「興行」をしたと言われていた。

武部さんはそんな通説に一石を投じる『大阪「映画」事始め』を執筆。稲畑勝太郎のシネマトグラフ上映に一足早い1896年12月に、荒木和一がエジソン社の映写機「ヴァイタスコープ」の上映を大阪で行っていた、と書いた。

この書籍の反響の中には、「ぜひこの荒木和一の、映画上映に至るまでの道を物語として読みたい」という声も多数あったという。武部さんにもその思いがあり、「フィクションも一部織り交ぜながら、物語として楽しめるものを作りたい」と初めての小説執筆に着手。
新たな調査も行い、4年の歳月をかけて完成させた。

小説では、アメリカに渡ってエジソン社と交渉し、ヴァイタスコープを個人輸入する荒木の奮闘を軸に、稲畑との運命のめぐり合わせや、関西での初の映画上映の風景、庶民の反応などが、史実に気を配りながら丹念に描かれている。

また今回の発売を記念したトークイベントが、12月18日(土)18時から、大阪・谷町六丁目の隆祥館書店で開催される。
当日は著者の武部さんこと東龍造さんが登壇し、制作の裏話や映画黎明期についてのトークを展開。
また同作では活動写真弁士の姿も描かれていることから、現在関西を拠点に活躍する活動写真弁士の大森くみこさんも参加。活弁付きサイレント映画の上映を行う予定となっている。

このイベントは、リモートでの視聴も可能(後日のアーカイブ視聴も)。詳しくは隆祥館書店のホームページまで。



小説『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』は、隆祥館書店などの全国の書店で発売中。

詳細情報
■イベント日程
12月18日(土)
 18時~20時30分 トークイベント
 ※20時10分~20時30分は活弁付きサイレント映画上映

■料金
・リアル参加
 3,500円(書籍代込み)、2,500円(書籍無し)

・リモート鑑賞
 3,800円(書籍代込み)、2,500円(書籍無し)
 ※リモート鑑賞は後日アーカイブ動画も

■会場
隆祥館書店
大阪市中央区安堂寺町1-3-4、TEL 06-6768-1023

■サイト
『フェイドアウト 日本に映画を持ち込んだ男、荒木和一』
隆祥館書店