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2021年08月10日(火)
多彩な4作品を楽しむサイレント映画活弁上映会 大阪・天王寺のあべのアポロシネマで開催

7月27日(火)、大阪・天王寺のあべのアポロシネマにて、サイレント映画のおもしろさを知ってほしいという思いを込めて企画された「キネマ・スクール」が開催された。主催は「無声映画振興会」。関西で活躍する活動写真弁士・大森くみこさんと、サイレント映画の楽士である鳥飼りょうさんと、が、映画にあわせた話芸とピアノの即興伴奏で、4本の傑作を紹介した。


当日の上映の様子(作品は『迷惑帽子』)

最初に上映されたのは1909年作の劇場におけるマナームービー『迷惑帽子』。

鳥飼さんの即興ピアノ伴奏と映像にあわせて「館内は禁煙、スマホはマナーモードに」とお願いを軽妙な声色で語る大森さん。「今から110年以上前に、マナームービーがあったことに驚きですよね」と解説した。

迷惑帽子
楽しくマナーを伝える『迷惑帽子』

続いて、銀幕の大スター大河内伝次郎が主演の白熱の時代劇『血煙高田馬場』、「世界初のSF映画」といわれる1902年制作の『月世界旅行』というタイプの異なる作品が続いた。『血煙高田馬場』はラストの決闘シーンが見ものの大活劇だが「弁士は自分で台本を書くので、人によりセリフや語りに変化も。時には作品のあらすじが変わってしまうこともありました」と解説も。

『血煙高田馬場』
『血煙高田馬場』
本来なら約2時間もの作品だが、現存するのは10分少々。今回はその貴重な映像を上映

また、『月世界旅行』は鳥飼さんのピアノ伴奏のみで上映。海外の上映スタイルでは映像に伴奏を付けることが主流だったようだが、それらをピアノひとつでカバーするサイレント映画専門の楽士ならではの演奏に、観客は身を委ねた。

『月世界旅行』
『月世界旅行』
監督は映画の魔術師と呼ばれる名匠ジョルジュ・メリエス。監督自身も役者で登場している。

最後に登場したのが、チャールズ・チャップリン、ハロルド・ロイドと並ぶ世界三大喜劇王のひとりバスター・キートン。今回上映された『キートンの文化生活一週間』は、家をまるごとセットに使った豪快で派手なアクションが楽しい傑作だ。

『キートンの文化生活一週間』
『キートンの文化生活一週間』
「キートンはひょうひょうとしていながらスゴイことをやってのける」と大森さん

「キートンの特徴は2つ。コメディアンですが決して笑わぬストーンフェイスであること。また、アクションがすごい。身体能力はぴかイチです」と大森さんの語りから上映開始。登場人物が変わるたびに声色を変えていく大森さんのおしゃべりに合わせ、鳥飼さんの絶妙なピアノ伴奏がからんでいく。キートンのダイナミックなアクションに子供たちからも笑いや驚きの声があがった。

マナーCM、時代劇、SF作品、そして、サイレント映画華やかなりし時の喜劇王バスター・キートンのアクション。サイレント映画の幅広さがよくわかるこのイベント。大人も子供も、普段見ているものとは異なる、新たな映画の魅力にふれた時間となった。

この上映会では、ただサイレント映画を観るだけではなく、映画のはじまりや当時の映画作品、観客の様子など、映画に関する豆知識のコーナーも登場。日本独自に進化した活動弁士の話題にも触れ、どのように仕事をしていたのか、はては弁士の年収まで!?話は及んだ。

キネスク2
「この4本はサイレント映画の入門編にぴったり」と語る大森くみこさん(左)と鳥飼りょうさん(右)

終了後、二人に話を聞くと、
大森くみこさん「大きな映画館での活弁上映って、なかなか体験できないことなので、たくさんの方に楽しんでもらえてうれしいです。今回上映した4本は、バラエティ豊かで、初めてのサイレント映画入門には最適。最初の『迷惑帽子』で昔の映画館ってこんな感じだったんだ、昔もマナームービーがあったんだという発見があったのでは?」

鳥飼りょうさん「日本の時代劇、フランスのSF映画、そして大スターのキートンの作品で終わるという、ちょっとずつ美味しいものを食べるようなプログラムにしました。映画についての知識も得られるし、魅力を感じてもらう入口になればと思います。サイレント映画はチャップリンやコメディ以外にも幅広い作品がある、ということも伝えたいですね」

と振り返った。

取材・文=田村のりこ
詳細情報
■サイト
無声映画振興会


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