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2017年12月21日(木)
16ミリフィルムでの撮影も話題に 大阪・釜ヶ崎が舞台の『月夜釜合戦』いよいよ公開

大阪・釜ヶ崎を舞台にした16ミリフィルム映画『月夜釜合戦』が12月23日(土・祝)よりシネ・ヌーヴォにて公開。本作でメガホンをとった佐藤零郎監督に釜ヶ崎での撮影や珍しい16ミリフィルムを使用した狙いなどを伺った。

1.ポスター
メガホンをとった佐藤零郎監督

映画『月夜釜合戦』は、古典落語「釜泥」をベースに、大阪・釜ヶ崎で巻き起こる「釜」をめぐる騒動を描いた人情喜劇。川瀬陽太、渋川清彦、西山真来といった実力派俳優陣が名を連ねていることも話題になっている。
撮影には16ミリフィルムが使用され、現在公開が決まっている劇場ではすべてフィルム上映される。ドキュメンタリー作品『長居青春酔夢歌』を手がけた佐藤零郎が監督を務めた。

2.tukikamaメイン
(c)『月夜釜合戦』製作委員会

日雇い労働者の町としても知られる大阪市西成区にある釜ヶ崎は、あべのハルカスから坂を下ってすぐのところに位置する。再開発が進む天王寺・阿倍野エリアとは違い、まるで時間が止まっているかのような雑多な下町。
佐藤監督は初めて釜ヶ崎に訪れたときのことを思い出し「臭いが印象に残っています。小便と埃っぽい臭いが強烈で、野良犬もいるし『こんなところが日本にあるの?』って思いましたね」と話す。

撮影は釜ヶ崎を中心に実施され、定期的に行われる炊き出しに大勢の人が集まる三角公園や西成警察署、近隣の学校近辺など釜ヶ崎に実在する場所でもロケが行われた。撮影の許可はとっていたものの、釜ヶ崎の人たちの中には好奇な目で見る人もいたそう。
「『なんで釜ヶ崎を撮るんや?』『この町をどう描くつもりや?』など言われたこともありました。散々メディアに取り上げられてきた街ですし、僕らもカメラを持って撮影している以上、メディアと変わりないですからね」と監督は明かす。撮影に反対する人もいたそうで、映像からはどことなく町の緊張感のようなものも感じる。

3.tukikamaサブ
(c)『月夜釜合戦』製作委員会

前作『長居青春酔夢歌』がきっかけで路上生活を経験した佐藤監督。「一般の人が向ける路上生活者への眼差しは、差別的なものを感じていた。自分もそういう中で生活しているんだなと思ったことがありました」と路上生活のときのことを思い出す。
釜ヶ崎でも路上生活者が道端で亡くなっているというケースを聞くことがあるが、佐藤監督も顔見知りが知らぬ間に亡くなっていたという経験があるという。本作で登場するキャラクターはエネルギーに満ち溢れているように見えるが「決してエネルギーに満ちたキャラクターを意識したわけではなく、自分としては生き生きしているようでどこか死が隣合わせにあることを意識しているキャラクターを描いたつもりです」と監督。キャラクターの背景には釜ヶ崎の現実もしっかり描かれている。

撮影で使用されたのは16ミリフィルム。今では珍しい16ミリでの撮影に踏み切ったのはどうしてなのか。監督は、撮影を担当したカメラマン・小田切瑞穂さんの一言がきっかけだったと明かす。
「小田切さんを連れて釜ヶ崎に行ったとき、まず『臭いがいいね』って彼も言ったんです。だからこそ、この町を撮るには絶対臭いを撮る必要があると確信しました。16ミリフィルムの質感なら、その臭いを映し出せるんじゃないかって思って」。どこか普通とは違う町の空気感が映像からも伝わり、釜ヶ崎とフィルムの親和性の高さが伺える。

しかし、16ミリフィルム撮影には様々な苦労が。中でも編集作業は実に2年もの時間がかかったそう。
「編集機材自体が無くなってきていることもあって、編集に必要なシネテープを探すところから始めました。あてにしていた機械も動かなくなったり、音楽をつける作業に四苦八苦したり、大変でした」と当時の苦労を笑いながら話す監督。
作品として完成したのは2017年3月。ようやくの完成にスタッフからは安堵の表情がこぼれたそう。完成まで長い時間がかかったが「作品との距離感がとれてきたような気がする。ドキュメンタリーでもわざと寝かして作品との距離も取る監督も多い。自分が撮ったものを編集するとき、一定期間寝かせないと見えないものがある。そのものが見えてきたような気がする」と監督は笑顔で振り返った。

SONY DSC

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(c)『月夜釜合戦』製作委員会

シネ・ヌーヴォでの上映を皮切りに、神戸・京都でも上映が控える。とにかく幅広い人に見てほしいと力強くアピールする監督。釜ヶ崎の現状を含め、さまざまな人に知ってほしいと願う。
「釜ヶ崎にも再開発が進んできている。新今宮には星野リゾートの大型施設ができるし、日雇い労働者が通うあいりん労働福祉センターの取り壊しも決まり、仮移転先が決定している。町が変わっていくことに地元の町内会の人たちは賛成なんですよね」と監督。
「地元の人たちって、街が変わることに賛成しているんですよ。自分たちは日雇い労働者の街っていわれることが嫌。でも、この作品に出てくるタマオやメイのように再開発に流されない人もいるはず。その思いは自分の中にもあります」と胸の内を明かし、締めくくった。

映画『月夜釜合戦』が12月23日(土・祝)より大阪・シネ・ヌーヴォにて公開。神戸・元町映画館、京都みなみ会館、神戸映画資料館でも順次上映が予定されている。

5.製作チーム
佐藤零郎監督(中央)と本作の製作チーム


映画『月夜釜合戦
』予告編

詳細情報
■上映日程
シネ・ヌーヴォ
 12月23日(土)~12月29日(金)

元町映画館
 1月6日(土)~12日(金)

京都みなみ会館
 2月3日(土)~9日(金)

神戸映画資料館
 3月(予定)

■映画館
シネ・ヌーヴォ
大阪市西区九条1-20-24、TEL 06-6582-1416

元町映画館
神戸市中央区元町通り4-1-12、TEL 078-366-2636

京都みなみ会館
京都市南区西九条東比永城町79、TEL 075-661-3993

神戸映画資料館
神戸市長田区腕塚町5-5-1アスタくにづか1番館北棟2F 201、TEL 078-754-8039

■サイト
映画『月夜釜合戦
』公式サイト

シネ・ヌーヴォ
元町映画館
京都みなみ会館
神戸映画資料館



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