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2017年09月20日(水)
湊かなえ原作『望郷』が映画化 主演の大東駿介さんが語る、故郷・堺市と作品への思い

湊かなえさんの連作短篇集『望郷』の映画化作品が、9月16日(土)より劇場公開。主演の一人、大東駿介さんに今作の見所と、出身である大阪・堺市に抱く「故郷への想い」についてインタビューを行った。

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原作小説『望郷』は、白綱島という島を故郷とする、六人の主人公視点で物語が紡がれた短篇集。その中から「夢の国」「光の航路」の二つの物語が貫地谷しほりさん・大東駿介さんのダブル主演で今回映像化された。
「夢の国」では、旧家のしきたりを重んじる祖母やそれに逆らえない母、そんな家族にとらわれて鬱屈した想いを抱えながら島で育った娘・夢都子(貫地谷しほり)が主人公。彼女がとある事件をきっかけに家を離れ、年月を経て、子供の頃から憧れた島外のテーマパーク「ドリームランド」の地に立った時、過去の事件について衝撃の秘密を告白する。
一方「光の航路」では、地元である島の学校に赴任が決まり帰郷した教師・航(大東駿介)が主人公。担任クラスでのいじめ問題に思い悩む日々の中、同じく島の教師であった亡き父を知る男性・畑野と出会う。航は子供の頃に父と交わした約束を破られて以来、心に残る父へのわだかまりを解けずにいた。畑野はそんな彼に、航の父の思い出を語りだす。
この二つの物語が、島の重要な場所「白綱山」をキーポイントに交錯する、故郷を、そして親子の絆を想う人々の姿を描いた映画となっている。

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©2017 avex digital Inc.

物語に登場する白綱島のモデルとなった場所がある。原作者の湊かなえ氏の出身地である広島県尾道市、因島だ。そんな因島を中心に行われた今作の撮影を振り返り、大東さんは語る。
「本当に美しい場所でした。特に印象的だったのが、真新しい建物があると思えば、造船で栄えた時代の面影をそのまま残す場所もある。ふと街並みを眺めた時に、そんな因島の歴史を感じさせる風景がたくさん残っていたところです。もしかしたら、湊さんが描きたい“人間”というものがこういった風景と似ているのかもしれないと思いました。この島と同じように、人間も一つの面で構成されているのではなく、いろんな想いや歴史で構成されるものなのだと。僕の中でそんな風に役柄に入り込むための解釈を持てたという意味でも、因島での撮影はとても重要なことでしたね」
大東さんの言葉通り、因島の美しい風景はこの映画において三人目の主役と言ってもいいほど存在感を放っている。複雑な親子の感情が絡み合うストーリーが中心に存在するが、因島の風景が常に背景にあることで、作品全体が爽やかな印象に包まれているのだ。そんな感想を伝えると、大東さんからはこんな答えが。
「菊地健雄監督や撮影スタッフがかなりのこだわりを持って因島の風景を撮っていましたから、作品を観ていただく方には、その風景から感じ取るものが絶対あると思います。その点も、大切な見所です」
そんな美しい因島の風景、そして作品を観進めるにつれ、“なつかしい”という感覚が胸を占めるようになる。その不思議な感覚について尋ねてみると、映像に秘められた仕組みを垣間見ることができた。
「僕も映像を観たとき同じことを感じました。何故だろう、と考えて気付いたんです。“なつかしさ”を意識して構成されているからだと。自分が子供の頃に見ていたような目線で親を見つめるシーンや、島のゆったりした空気感――そういった映像が重なり、観る人それぞれの故郷の思い出を呼び起こす仕組みになっているのではないでしょうか。」

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©2017 avex digital Inc.

大東さんは大阪の堺市出身。今作と出会ったことで、自身の故郷を思い出すことはあったのだろうか。
「僕は19歳で上京したんですが、当時は堺の町を出たくてうずうずしていました。けれど今は、故郷への想いをすごく大切に扱っています。堺市って結構都会なイメージがあるんですけど、昔からある落ち着いた場所も残っていたりする。シャッターの降りた店、手入れされていないひび割れたコンクリートとか……実は因島でそういうふとした風景を見た瞬間に、パッと自分の故郷を思い出した時がありました。子供の頃に見た景色と重なったんです。」
さらに彼自身の故郷への想いを明かしてくれた。
「なるべく、意識して故郷には帰りすぎないようにしているんですが、以前堺に帰った時、小学生の頃通っていたタコ焼き屋さんに行ってみたんです。昔の思い出が残る場所に行ってみることで、安心感や寂しさのような色んな感情を受け取ることができました。それが俳優としての力にもつながっている気がするんです。そして、また仕事に戻って頑張れる。そんな程よい距離感を保って、大切に思う気持ちを忘れないようにすることが、僕の故郷と向き合う形になっていますね」

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©2017 avex digital Inc.

最後に、映画『望郷』の魅力については「映画って、観る人の趣味嗜好によって好みが分かれるものですよね。けれど、この作品はぜひ色んな人に観て欲しいって勧めることができます。なぜなら、普遍的な魅力があるからです」と太鼓判。
「家族、故郷、自分……それらと向き合うことができる映画なんです。この映画を選ぶ方が、どんなタイミングで観てくださるかによっても感想が異なると思います」と話す。
「観客には、10代の若い方もいれば、50代、60代など人生経験を積まれた方もいる。きっと自分の故郷と向き合うきっかけにもなるし、もしかすると向き合い方が変わる可能性もある。僕は、色んな人に観てもらって感想を聞いてみたいんです。僕自身も、この映画に出会って、初めて自分自身の過去や故郷とちゃんと向き合えたと思いました」と締めくくった。

映画『望郷』は9月16日(土)より新宿武蔵野館ほか全国拡大上映。
関西では9月30日(土)よりテアトル梅田、京都シネマ、元町映画館にて上映開始。


『望郷』予告編

詳細情報
■関西上映日程
9月30日(土)~

■映画館
テアトル梅田
大阪市北区茶屋町16-7梅田ロフトB1F、TEL 06-6359-1080

京都シネマ
京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620番地COCON烏丸3F、TEL 075-353-4723

元町映画館
神戸市中央区元町通り4-1-12、TEL 078-366-2636

■サイト
映画『望郷』公式サイト
テアトル梅田
京都シネマ
元町映画館



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