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2017年07月10日(月)
「映画とミニシアターに乾杯!」関西のミニシアター女性支配人らが集合、映画への愛と各劇場の個性語る

7月2日(日)、大阪・宗右衛門町のロフトプラスワン・ウェストにて、関西の映画情報ウェブサイト「キネプレ」5周年記念企画「映画館女子ガールズトーク2017夏~ワタシたちが映画に人生を捧げたワケ~」が開催された。

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2014年に2回開催して好評を博した「映画館女子ガールズトーク」が2年7カ月ぶりに再開催。登壇者を増やし、関西のミニシアターで勤務する個性豊かな女性支配人たちが一堂に会した。普段は見えづらい女性支配人たちの業務の裏話や、映画業界で働くきっかけも語られ、満席となった会場に集った関西の映画ファンたちを楽しませた。

今回登場したのは関西のミニシアターで働く女性スタッフ8人。前回も登壇した、大阪・九条のシネ・ヌーヴォの山崎支配人、シネマート心斎橋の横田支配人、大阪・十三のシアターセブンの福住支配人、京都みなみ会館の吉田館長、神戸の元町映画館の林支配人、尼崎の塚口サンサン劇場の映写スタッフ藤村さんに加え、今回は京都シネマの横地支配人、テアトル梅田の古野支配人が新たに参加。
司会は、シネマコンシェルジュのhimeさんと、キネプレラジオガール水瀬みおさん・野間ユミカさんがつとめた。
「映画に乾杯」の掛け声とともに、なごやかな雰囲気でイベントがスタートした。

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登壇者と来場者で「映画に乾杯」

最初は、2016年と2017年上半期の総決算というテーマで進行。各劇場のヒット作や自身が印象に残っている作品についてトークが展開された。元町映画館では岩井俊二監督作『リップヴァンウィンクルの花嫁』が動員・興収ともに人気だったという。アンコールも含め2週間の上映期間にも関わらず、リピーターも多く、連日立ち見が出るほどだったとのこと。
重低音特化のスピーカーを使用した「重低音ウーハー上映」が人気の塚口サンサン劇場では、たとえば『劇場版ガールズ&パンツァー』の際の音響監督自らの調整などの話が飛び出した。
日本映画特集の多いシネ・ヌーヴォでは、実はフィルムノワール特集や洋画上映の印象も深いという山崎支配人。懐かしんで足を運ぶ年配の人だけでなく、噂には聞くが観たことがない、という若い客層も増えているそうだ。
テアトル梅田では去年から異例のロングラン上映中の『この世界の片隅に』が現在も上映中とのことで、初めて観る人や、リピーター、ここでしかやっていない、と遠方からの来館者もいると紹介。「聖地」として知られる同館の人気の高さを感じさせた。
一方、社会派ドキュメンタリーやインディーズ作品の上映が多いというシアターセブン。毎年1月に上映する『その街のこども』での主演・森山未来さんの登壇等についても触れた。
定期的にオールナイトイベントを行う京都みなみ会館では、園子温監督のオールナイト上映が記憶に残っているという。スタッフ考案の強烈でユニークなネーミングも話題となった。さらには京都に縁が深いというデヴィット・ボウイの追悼上映については、映画館としては珍しい『地球に落ちてきた男』の買付についても触れた。
一時期は邦画の上映が少なかったが、ここ2、3年は増えつつあるという京都シネマは、京都出身の中野量太監督『湯を沸かすほどの熱い愛』が前作を上映した縁もあり、ヒットや盛り上がりが嬉しかったと喜びをにじませたほか、クチコミで拡がっているドキュメンタリー映画『人生フルーツ』の人気にも。
アジア映画に強いシネマート心斎橋では、「最強韓国月間」と銘打って特集した3作『お嬢さん』『アシュラ』『哭声コクソン』の評判の高さが印象的だったという。

途中、何度も話題に上ったのが、フィルム上映について。どの登壇者もフィルムならではの良さについて、特別な想いをにじませた。上映する本数は妥協できない、というシネ・ヌーヴォ支配人は、古いフィルムも、早朝からスタッフで準備をしてどんどん上映する、と迷いがない。
押井守監督の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』を35ミリフィルムとブルーレイの2バージョンで上映した塚口サンサン劇場の藤村さんも、デジタルで仕事量が減るのはそのぶん宣伝や別業務に力を入れられると肯定しながらも「フィルムでの圧倒的な彩度には感銘を受けたし、大好き」と話す。京都シネマの横地支配人も、デジタルに目が慣れてしまっている今こそ、フィルム上映と見比べてほしい、と呼びかけた。

休憩をはさんで第2部では、各支配人たちが映画業界に入った経緯や、今後の展望についてトークを展開。それぞれの支配人たちの、映画業界で勤めるにあたって共通しているのは「行動力」ということが浮き彫りになった。求人が締め切られていたり、そもそも求人がなくても、思い立って電話をしたり問い合わせたりしたことで、いまにつながる道が開けたケースが多く、中には他業種からの転職も。映画ならではのドラマティックな展開もあり、会場が大きく沸いた。

幕間には、夏らしく怪談話も。謎の物音、謎のにおい、16ミリフィルムでの上映時に起こる怪現象などが語られ、来場者の肝を冷やした。

最後のテーマは、今後の展望やそれぞれが思うことについて。
「1スクリーンの限界に挑みます」と吉田館長、「映画ってホントに面白い!たくさんの人に当たり前のように映画館にきてもらえるよう尽力したい。」と語る古野支配人。設備もよくしてより良い作品を届けたい、とシアターセブンの福住支配人も続ける。「映画を見る選択肢として映画館が存続するために、ぜひ映画館に通ってください」と山崎支配人は呼びかける。
横地支配人は「ここ2~30年で映画館のあり方は変わってきたし、今後も変わり続ける。特徴や持ち味が異なる映画館それぞれが、観る人にとってより良い選択肢でありたい」と話したほか、林支配人は「今はリスクを負いたくなくて事前に調べて映画を鑑賞する人が多いけれど、今まで気にしていなかった映画を取り込むことで、人生も豊かになるように思う」と多彩な作品の映画観賞を呼びかけた。
また、8人とも口をそろえて「映画館はお客さんが入って作られる雰囲気が大事」だと語る一幕も。藤村さんは、自由に楽しむマサラ上映のお客さんの幸せそうな姿をみて自身の映画との関係がよりよく変わった、上映後のお客さんの表情が楽しみ、と話す。横田支配人も「満席の回は全員に握手してお礼をいいたくなる」と笑いを誘い、「スタッフが楽しくないとお客さんも楽しくないから楽しくいたい。それでお客さんも楽しくなってもらえたら最高」と呼びかけ、大きな拍手とともにイベントは終了した。

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