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「恋愛下手な人にこそ観て欲しい」市井昌秀監督最新作『僕らのごはんは明日で待ってる』公開

『箱入り息子の恋』で第54回日本映画監督協会新人賞を受賞した市井昌秀監督の最新作『僕らのごはんは明日で待ってる』が、TOHOシネマズ梅田ほかで全国公開中。

キネプレ_市井監督写真
市井昌秀監督

『僕らのごはんは明日で待ってる』(2017年)は、小説家・瀬尾まいこさんの同名ロングセラー恋愛小説を原作にした映画作品。無口でネガティブな高校生・葉山亮太(Hey!Say!JUMP・中島裕翔さん)と明るく超ポジティブなクラスメイト・上村小春(新木優子さん)。まるで正反対だが、体育祭の競技「米袋ジャンプ」でペアを組んだことをきかっけに付き合うようになる2人の、それ以降7年間の恋模様を描く。市井昌秀監督がメガホンを取り、美山加恋さん、岡山天音さん、片桐はいりさん、松原智恵子さんらが脇を固める。

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(C)2017『僕らのごはんは明日で待ってる』製作委員会

元々、瀬尾まいこさんの原作を読んだり、過去の映画化された作品を観たりしていた市井監督。本作を手掛けることとなったきっかけは、プロデューサーから原作を貰ったことだという。「米袋ジャンプというコミカルな作業だったり、二人のキャラクターからくるやり取りだったりが楽しく面白く感じ、おこがましいのですが僕の世界観にすごく合っているなと思ったんです。それに加え、非常に軽やかに物語が優しく包まれているんですけれど、ちゃんと二人の心の痛みも描かれているので、そういった点にもすごく惹かれ、映画化したいと思いました」と話す。
俳優陣の役作りについては「背伸びをして足すような演技はして欲しくないと言いました」と、あくまでも自然体での演技を求めたという市井監督。具体的には「亮太や小春の高校や大学時代については、中島君や新木さんも通ってきたような道であり、そんなに離れているとは思わないので、感情的な部分においてもキャラクターの部分においても、亮太と小春はすでに二人の中にいるからと。必要な部分をちょっと虫眼鏡で広げるような感じで演じて貰いたいと言いました。中島君と新木さんの中に無いものを無理やり出す必要はないとも言っていました」と話す。何気ない日常を描いた本作のため、あえて奇抜なカメラワークや演出も行わなかったという。

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(C)2017『僕らのごはんは明日で待ってる』製作委員会

好きなシーンは、「小春がフライドチキンを作って、自分の気持ちを吐露するところ」と監督。「初めてちゃんと向き合って自分の状況を話し、それを受け止める亮太が油ギトギトの指で抱きしめる。その後のホッとしたような小春の笑顔が印象的です」と話す。
撮影時の印象的なエピソードも。双眼鏡を覗くシーンについて「2月の撮影だったのですが、あの双眼鏡がめちゃくちゃ冷たくて。ストーブを当てて温めたりもするのですが、20秒後くらいにはまた冷えてしまって。手がくっついてしまうくらい冷たいのですが、中島君も新木さんは平然とお芝居をしてくれました」と振り返った。

誰に観てほしいか、という問いには「しいて言うなら、恋愛下手な人に特に」と市井監督。「よくよく考えると『俺、恋愛上手』って言う人っていないと思うんですよ。恋愛下手な人でも上手くなろうとしなくていいと思っていますし、恋愛下手だからこそ出会えた人であったと思いますし、自分にも近い部分もあるので、そういう人を肯定したいなと思っています」と語った。
監督は最後に「ほんのちょっとでも観た人に元気になってもらえる、元気の糧となるような映画になってくれたらいいなと思っています」としめくくった。

1月9日(月・祝)にはTOHOシネマズ梅田で公開記念舞台挨拶が行われ、主演の中島裕翔さんとヒロインの新木優子さんが登壇。新木さんは「誰かに支えられて成人を迎えられた方や、みなさんそれぞれに、大切な人、友達、家族の方に感謝したい気持ちを伝えていただけたらいいな」と話し、「大切な方と今度は、映画館に映画を見に来ていただけたら嬉しい」と呼びかけた。
中島さんは「明日頑張らなきゃいけないとか、大変なことがあった時、この映画のことを思い出して「生きる勇気」にしてくれれば、すごく嬉しいです」と締めくくった。

映画『僕らのごはんは明日で待ってる』は、TOHOシネマズ梅田ほかで公開中。

『僕らのごはんは明日で待ってる』予告編

詳細情報
■上映日程
1月7日(土)~

■サイト
『僕らのごはんは明日で待ってる』公式サイト