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「若いうちに観るべき映画」テーマに語る 神戸でミニシアター支配人6人が登壇

神戸の元町映画館で学生向け特集上映「二十歳までに観とかなあかん映画選(本気)」を実施中。10月30日(日)には関西のミニシアターの支配人6人が一堂に会し、今回の特集について語り合うトークイベントが開催された。

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「二十歳までに観とかなあかん映画選(本気)」は神戸の元町映画館と、同館を拠点に活動する学生による映画宣伝隊「映画チア部」により立ち上げられた企画。タイトルの通り「二十歳までに観るべき映画」を映画館スタッフ、映画チア部のメンバーが4作品選定した。選ばれたのは『天然コケッコー』(2007年)、『シティ・オブ・ゴッド』(2003年)、『台風クラブ』(1985年)、『トゥルー・ロマンス』(1993年)。ちなみに、『天然コケッコー』『シティ・オブ・ゴッド』『台風クラブ』は35mmフィルムで上映されている。

特集に合わせて、トークイベントを実施。関西のミニシアターの支配人・館長たちが集結した。壇上に登場したのは松村厚さん(第七藝術劇場)、山崎紀子さん(シネ・ヌーヴォ)、吉田由利香さん(京都みなみ会館)、田中誠一さん(立誠シネマ)、福住恵さん(シアターセブン)、林未来さん(元町映画館)。司会進行は、映画チア部の肥田勇也さん、田中悠平さんが務めた。

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トークイベントは、映画チア部の肥田さんが選んだ作品『シティ・オブ・ゴッド』上映後にスタート。同作について肥田さんは「二十歳までに迫られる色々な選択が後に大きな影響を与える、という意味で、今回の上映作品に強く推した」と語る。林さんは「今の若い人は選択するのが上手いとは言えないかもしれない。人から勧められたり、周りの評判がいいから映画を見るということに慣れてしまいがち。この特集上映をきっかけに、自分で選択肢がたくさんあることを知ってほしい」と呼びかけた。また、立誠シネマの田中さんは「観なあかん、と言われて何かを選ぶのではなく、どんな映画にでも挑戦して欲しい。若いうちはつまらないと思われる映画でも一度見ることが重要だと思う」と話した。

それぞれの若い頃に観た映画体験の話では、山崎さんは「自分が10代のときに観た映画で心に引っかかっているのは小栗康平監督の『眠る男』だった。初めて観た当時は訳が分からなかったけど、自分が支配人となり小栗監督の特集上映をするとそのことを思い出す」と語り、吉田さんは「『トゥルーマン・ショー』を観たときにもしかしたら他人に悟られたり、見られているのではないかという妄想が広がった。自分というものを意識し始めるときに観ることができてよかった」と話していた。

そして話題は、青春映画に。吉田さんは「一口に青春映画と言っても観る人の年代によって意味合いは変わってくる。現在大ヒットしている『君の名は。』も若者と大人が観るのとでは捉え方は全然違うと思う。若いうちに、その時代に流行っている青春映画を観てみるのもいい」と話し、松村さんはアメリカのサイト「Buzzfeed」が選定した「25歳までに観るべき映画25本」を紹介しながら、「例えばランクインしている『あの頃ペニー・レインと』は、自分は観たときはすでに大人だったが、いい映画だった。逆に年を取ってから観ると、大人だからこそ分かるものもある」と語った。

ちなみに今回登壇者の6館に、パル・シネマしんこうえんを加えた7館で、11月中に学生だと割引になる「え~がな500」のキャンペーンも実施される。「え~がな500」の公式サイトで簡単なアンケートに答えて、出てくる画像と学生証を提示すると、対象の映画を一人500円で鑑賞できるというもの。2名以上から適用。松村さんは「500円で映画を観ることができるいい機会なので、普段だと絶対に観ないようなものを観てもらってもいいのでは」と若い世代に呼びかけている。

ちなみに元町映画館の2階待合室には「二十歳までに観とかなあかん映画選(本気)10代への思いを叫べ」と題して、え~がな500参加映画館支配人、ネットの投稿、映画チア部、元町映画館スタッフそれぞれの10代に観てほしい映画や、若いうちに挑戦すべきことなど若者に向けたメッセージを展示している。

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「二十歳までに観とかなあかん映画選(本気)」特集上映は11月4日(金)まで神戸・元町映画館で実施中。

詳細情報
■上映期間
10月29日(土)~11月4日(金)

■映画館
元町映画館
神戸市中央区元町通り4-1-12、TEL 078-366-2636

■サイト
え~がな500
映画チア部
元町映画館
第七藝術劇場
シアターセブン
シネ・ヌーヴォ
京都みなみ会館
立誠シネマプロジェクト