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「良い映画が産まれる時は神様が邪魔をする」大阪で矢崎仁司監督らが舞台挨拶

3月12日(土)、大阪・九条のシネ・ヌーヴォで映画 『xxx kiss kiss kiss』の公開初日の舞台あいさつを実施。監督の矢崎仁司さん、脚本担当の1人である武田知愛さん、出演者の草野康太さんの3人が登壇した。

矢崎挨拶1
矢崎仁司監督(写真左)、武田知愛さん(中央)、出演者の草野康太さん

『xxx kiss kiss kiss』(2015年、168分)は、新人脚本家集団「チュープロ」のオリジナル脚本を矢崎監督が映像化した作品。5人の脚本家によるキスをテーマにした5つの短編からなり、武田知愛さんによる『儀式』、朝西真砂さんによる『背後の虚無』、中森桃子さんによる『さよならのはじめかた』、五十嵐愛さんによる『いつかの果て果て』、大倉加津子さんによる『初恋』で構成されている。出演は『ペコロスの母に会いに行く』の松本若菜さん、『太陽の坐る場所』の柿本光太郎さん、『プラチナデータ』の中丸新将さん、『四十九日のレシピ』の荻野友里さん、『利休にたずねよ』の川野直輝さんら。多彩な俳優陣が矢崎監督のもと、監督の出身地である山梨県に集結し、撮影が行われた。

矢崎監督は舞台あいさつの冒頭で「憧れの映画館であるシネ・ヌーヴォでは絶対公開したいと思っていたので、本当に凄く嬉しい限り」、武田さんも「デビュー作である『1+1=1 1』を上映して頂いたこの劇場で、また上映して頂ける事をチュープロ一同感謝しています」と感謝を述べた。
今回の作品を作るに至った経緯について、武田さんは「4年前、『1+1=1 1』の撮影が終わった頃に、キスを題材にした作品を書こうじゃないかとみんなで集まり、10本の短編を書き上げました」と当時の事を振り返る。「原稿を矢崎監督に持ち込み、5本の作品を選んでいただき、1年かけて書き直してから、撮影合宿をして創り上げた作品」だと語る武田さん。

自身の作品の作り方について「『花を摘む少女 虫を殺す少女』までずっとインディーズで映画を作ってきたから、『ストロベリー・ショートケイクス』を撮る前に長崎俊一監督に『矢崎さんはそろそろ他人が書いた脚本でやるべきだ』と言われて意識するようになった」と話す矢崎監督。とはいえ「チュープロの皆が持ってきた脚本はもっと向いている監督がいるはずだ」と一度はやんわり断ったという。だが脚本家たちの熱意を受けて「自分が監督をするなら、こんな作品にしたい」とシナリオの修正指示を1年も出し続けた。「前作『1+1=1 1』で矢崎監督の世界観に恋してしまった。私にはアピールするキャリアもなく、情熱しかなかったので、私の片思いを監督に投げかけた作品」と話す武田さん。草野さんも「矢崎さんに恋い焦がれて、矢崎さんの映画の住人になりたいと思いながら俳優を続けてきたので、すごく幸せです」と熱い想いを披露した。

矢崎挨拶2

撮影現場についてに話が及ぶと、矢崎監督は「草野さんはじめ俳優さんたち衣装も自前で、照明の大坂さんがマイクを持つような撮影現場でした。台風にも襲われました。良い映画が産まれる時は、大概映画の神様が邪魔をするもの。蹴落とされてもそれをなんとか乗り切ると、今度は急に協力してくれて力をくれるものです」と語る。「5つのキスを撮るなら、5人の監督が撮ったみたいにしたいと思った」と述べる矢崎監督。武田さんは「1回観ただけではわからない作品になっているので、もう1回観ていただききたい」、草野さんは「この作品は凄く好きで何回も観ています。何回も観返すことができる映画になっていています」と今作をPRした。
矢崎監督も、「一度しか観られない映画が多いけど、音楽みたいに繰り返し見られる映画を作ってきました」と話し、舞台あいさつは終了。最後に「この映画の登場人物たちに会いに来て欲しい。きっと、誰かとキスしたくなりますよ。この映画を観て、良いキスをしてください」と呼びかけた。

『xxx kiss kiss kiss』は、大阪・シネ・ヌーヴォで3月26日(土)から4月1日(金)はシネ・ヌーヴォXにて公開。また、矢崎さんが監督、武田さんと朝西さんによる共同脚本にて参加した新作『無伴奏』が3月26日(土)より大阪ステーションシティシネマ他にて公開予定。

『xxx kiss kiss kiss』予告編

詳細情報
■上映日程
・シネ・ヌーヴォX
 3月26日(土)~4月1日(金)

■映画館
シネ・ヌーヴォ
大阪市西区九条1-20-24、TEL 06-6582-1416

■サイト
『xxx kiss kiss kiss』公式サイト
シネ・ヌーヴォ