「映画には無限の可能性」「生き残った責任を」大林宣彦さんトーク

終戦記念日の8月15日(金)、映画作家の大林宣彦さんが京都の立誠シネマプロジェクトを訪れ、映画や平和についてのトークショーを行った。

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立誠シネマを訪れた大林宣彦さん

大林宣彦さんは、『転校生』『時をかける少女』などの有名作を手がけた映画作家。独特の映像表現から、“映像の魔術師”とも呼ばれている。近年は新潟県長岡市を舞台にした『この空の花 長岡花火物語』(2012年、160分)、北海道芦別市を舞台にした『野のなななのか』(2014年、171分)など、「ふるさと映画」と呼ぶ、地方を舞台にした映画作品を精力的に制作している。

今回は、この2作品の同時上映が行われている京都の立誠シネマに、大林さんが来場。映画観賞者を対象にトークイベントを実施し、100人を超える参加者がトークに聞き入った。

「みなさんに会いに来ました」とあいさつした大林さん。軽く話した後、来場客から寄せられた質疑に一つずつ応答する形でトークが行われた。

「映画は、その人の思想、フィロソフィーを、物語に託して語るもの」と話す大林さん。東日本大震災や、太平洋戦争についても触れ、映画を作ることに対する自身の姿勢を表明した。
「映画は、発明された時はいろんな可能性があったはず。文学なら、小説、ドキュメンタリー、エッセイ、論文、詩、日記など、多彩なものがある。でも映画は劇映画とドキュメンタリーだけ。これは商業主義の結果こうなっただけで、本当は無限の可能性があるはずなんです」と語る大林さん。「だから、映画で論文を書こう、見聞録を書こうと。それをドキュメンタリーではなく、自分のイマジネーションでエッセイのように作ろうと思いました」と今回の2作について振り返った。

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映画や平和について話す大林宣彦さん

この2作品に「シネマゲルニカ」と名前を付けた大林さん。ピカソが戦争を描いた絵画「ゲルニカ」になぞらえて命名したといい、「ゲルニカは横顔に目が2つ描かれている。これは、子どもが描くお母さんと一緒。自分を見つめてくれる目が2つあることを感じていますから。ピカソはあえてそれをやっている。だから風化せず、いつまでも平和を願う力を伝えているんです」と話し、自身の作品への影響を語った。

地域で映画を作ることにも触れる大林さん。
「戦争で負けたけど、まだまだちゃんと残っている日本の姿を、高度成長期の日本が『町おこし』と言いながら自ら壊していったのが耐えられなかった。だからぼくは『町守り』の映画を作っていったんです」と話し、今回の2作品の舞台となった長岡市と芦別市の人たちについても言及した。

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大林さんの話に聞き入る人たち

トークショーの最後には、改めて大林さんからあいさつ。「生き残った者には、義務があります。殺されてしまった人たちの悔しさや願いをきっちり伝えることが、生き残った者の責務ですから、それを果たしてほしい。みんなただ生きてるんじゃない、生き残ったのよ。生き残った者の責務として、二度と戦争のない平和な世界を作りましょう」と呼びかけ、大きな拍手が送られた。

京都・立誠シネマで大林宣彦さんトークショー


※トークショー最後の部分のみです

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立誠シネマプロジェクト