塚口サンサン劇場の改革10年を記した人気連載! 書籍も発売中!

連載コーナーはこちら

未来へ紡ぐ、被爆者の生き様 大阪で『アオギリにたくして』上映へ

広島で被爆し、平和の語り部として活動した女性・沼田鈴子さんをモデルにした映画『アオギリにたくして』が、大阪・十三のシアターセブンで8月9日(土)から3週間上映される。

アオギリtop
『アオギリにたくして』統括プロデューサーの中村里美さん(写真左)とプロデューサー・音楽監督の伊藤茂利さん

『アオギリにたくして』(2013年、120分)は、広島での被爆体験の語り部して活動した故・沼田鈴子さんをモデルにしたドラマ映画。被爆した際に足を失ったことや、被爆したアオギリを観て絶望から立ち直っていく姿を描いている。
主役の田中節子を演じるのは、原日出子さん。作中には、田中さんに興味を抱き取材を進める若い女性ライターも登場し、当時と現在の2つの目線から、被爆と戦争の現実を浮き彫りにしていく。

アオギリ1
『アオギリにたくして』

同作を統括プロデューサーとして手がけたのは、中村里美さん。異文化コミュニケーションや社会への貢献事業を行いながら、ライブ活動をスタート。沼田さんと知り合い、「沼田さんの思いを伝えたい」との思いから、ライブ演奏と朗読、そして植樹活動などを手がけてきた。
映画を手がけるのは初めてだという中村さん。「沼田さんは2011年に亡くなる直前、東日本大震災後の福島を気にかけていました。彼女の『死ぬのは簡単だけど生きて伝えなければ』という思いを受け継ぎたかったんです。より深く、一人の人生を伝えるには、と考え、映画制作を企画しました」と話す。

2012年の春に企画をスタート。同年8月から2013年6月まで撮影を行った。そして8月に東京・渋谷のアップリンクで公開が開始。当初3日間のみの特別上映の予定が、反響が大きいことから2週間まで延長された。大阪での上映は、同じく昨年にシアターセブンで1日だけだったが、一年ごしに3週間の上映が実現。シアターセブン側からの熱いオファーによって叶ったという。
その他、全国各地で自主上映も頻繁に開催。学校や古民家、公的施設でも上映され、観賞した人が口コミで良さを伝えてくれた結果、どんどん広がっていった。

ドキュメンタリーではなく劇映画という手法を選んだことについて、「沼田さんだけでなく、私が今までお会いした様々な被爆者の方の思いも伝えたかった」という中村さん。「主人公の女性に託して描きたかった」と振り返り、さらに取材する若い女性という登場人物を出したことについても「かつてわたし自身が、沼田さんに出会い、人生が変わった思い出があります。なのでそれを反映し、さらには被爆者のストーリーを若い人にも伝えていきたいとも思いました」と語った。

戦争や原爆について、「過去のことだと思っていたけど、被爆者の人に会って、過去のことではない、今も苦しんでいる人がいると知りました」と話す中村さん。過去と現在と未来をつなげて考えていかないといけないと感じたという。「生きるってことはいいことばかりじゃなくていろんなことがある。一人の女性の生きざまを観て、命の大切さを感じてほしい。あの日きのこ雲の下にいた一人の女性の姿から、みなさんそれぞれが何かを感じてもらえれば」と呼びかけている。

『アオギリにたくして』は、大阪・十三のシアターセブンで8月9日(土)から8月29日(金)までの3週間上映予定。大阪や京都での上映会でも随時上映される。

『アオギリにたくして』予告編

詳細情報
■上映日程
シアターセブン
 8月9日(土)~8月29日(金)

その他上映会も多数

■映画館
シアターセブン
大阪市淀川区十三本町1-7-27サンポードシティ5F、TEL 06-4862-7733)

■サイト
『アオギリにたくして』公式サイト
シアターセブン