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2014年06月19日(木)掲載
「地方への映画誘致」テーマにトーク 行定勲監督座談会書き起こし

6月21日(土)から公開される芦田愛菜初主演作『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』。その行定勲監督が6月11日(水)に大阪のテレビ局を訪れ、マスコミ向け座談会に出席しました。
その中から、行定監督が語られた、「地方でロケをすること」「地方での映画作り」についての話を、ほぼ書き起こしで紹介します。

円卓_行定監督
行定勲監督

‐‐‐大阪でロケをすることにこだわった理由を教えてください。

行定 西加奈子さんの原作が大阪を舞台にしているものでして、団地に住む小学生の話なんですね。小学校のころは半径4キロとか5キロ圏内でだいたい行動しているもので、その行動範囲で映画を作るということは、みんなが慣れ親しんだ場所しか出てきません。特別な場所ってのがあんまり出てこないんですね。特別なシーンがない限り。じゃあ全国の人たちが、同じような郷愁に浸れる、そんな場所がいいなと。そしてなおかつ、大阪らしい場所は何とか見つけたい、と自分なりには思っていました。
原作はたぶん、ミナミの方の団地のイメージだと思うんですね。ただ大阪のミナミの方もいろいろ歩いてみたんですが、ミナミで撮影するとどうしてもコテコテの大阪の、大阪観光映画のような「おのぼりさんがやってきて~」という、ちょっと色目を使って撮ったような感じになっちゃうんじゃないかなと。ぼくら東京の人間は、やっぱりそういうところに惹かれるんです。みんなが知ってる、通天閣とか新世界とかもね。あいうところにコテコテの女の子がいる、っていうのはもうみんなが見てきた景色なんですよね。それを今回は排除したかったんです。大阪以外の人たちが見ても「ああ、子どもたちの風景だ」と思えるような。

でも、そこで怖いのは、「特別な場所がない」ということでした。なんてことがない、という場所ばかりなので。そこで撮影のイマジネーションを膨らませるために、ぼくたちは架空の地図を作りました。「ここに団地があります、ここに学校があります」といった感じです。ただどうしてもやりたかったのは、岡本太郎の太陽の塔を出したことです。しかも主人公は、太陽の塔の裏っかわを見ている。それがたぶん、このこっこという女の子が主人公になっている所以です。
もちろん裏っかわが見られる場所ってのは、特別にお金を払って入る場所なので、それは違うだろうと。そこは「映画のウソ」をつきました。合成なんですが、観た人が「こういう場所はあるんじゃないかな」と思わせる場所が必要だったんです。それが西成でした。西成の風景の中に、なぜか大阪の北にある太陽の塔が見えるという(笑)。ある意味バカっぽいんだけど、それが映画の中だと成立するような、そんな空気を作りたかったんです。なのでさんざんいろんな公園を探しましたね。

じつはぼくたちは撮影の時、けっこう西成に泊っていたんです。その近くで気に入った場所を見つけました。大阪にはミナミとキタの違いはありますし、大阪の人もよくミナミとキタで論争するんですが、それは知ったこっちゃないと(笑)。この映画の中の、大阪の原風景みたいなものが、この映画の中だけではウソを許してもらって、作ろうかなと思いました。

あと、大阪をロケハンして一番感じたのは、どの街に行っても鉄道、電車が走っているということでした。東京ではあんまりそういう意識がないんだけど、大阪はともかく電車。おそらく電車の路線があって、それ沿いに街が栄えているような。学校も線路沿いにあったりとか。「近くに線路あるのはいいなあ」とか、音も使えるしありがたいなあ、と思ってました。

語る行き定

‐‐‐撮影に使った小学校は、大東市の旧・北条西小学校でしたね。

行定 この小学校はよかったですね。もう廃校になった学校なんですけど、すごくきれい。本当にいい環境の学校だったんです。卒業生の壁画がいい感じに飾られていたのは「ああ、美術スタッフが作ったみたい」と思ったし、一番気に入ったのは、ウサギ小屋が出てくる裏庭です。あれだけの広い敷地が緑化されているんです。花壇もあったりして。映画のために作ったかのような場所ですごく気に入りました。校庭も広くて良かったですね。
こういうところが地方の良さだなあと、思いました。しかも市長さんはじめ多くの方が協力的で、現場にも足を運んでいただいたり、ぼくたちがいきなり「今日撮りたいんだ」と言っても対応していただいたりしました。
ああいう学校は、ある意味宝だと思うんです。廃校になったから立て壊すとかじゃなく。ぼくたち映画人はどうしても学校というものをいい環境で使いたいんですよ。今回のような大阪が舞台の映画に限らず、地方を舞台にしたいとなった時、あの学校に誘致できるんじゃないかなと。大阪じゃなくて「どこかわからない地方都市」みたいな。ぼくもよくそういう使い方しますけど。
たとえばその学校を監督が気に行ったら、それを中心に街並みを考えていくことができます。子どもの話や青春映画だと、必ず学校が必要なんですね。でもみ普段も利用されている学校だと、必ず週末だったり夏休みのみだったりと、撮影するのにいろいろ制約が出てきますよね。映画人っていうのは、もっと自由に使いたいんですよ(笑)。
学校と、あと病院ですね。このあたりの施設がちゃんと使えると、映画人としてはすごくやりやすいんです。融通がきく施設がなかなか多くないですから。

あと、フィルムコミッションの方と話すとよく出てくるのは、どうしても「風景を見せたい」という話です。でもドラマが起こるのは風景の中じゃないんです。風景は背景でしかなくて、やっぱり役者の顔を撮っているんですよ。歩いている引きの絵でも、2・3秒だったらアップになってしまうんです。
じゃあどういうものがあれば、映画人はその街を撮りたいかと思うかというと、やっぱり建物の条件ですね。たとえば主人公の小学校がある学校に決まったとしますよね、そうしたらだいたいはその近くでいい風景を探して、歩いているところを撮ろうとすることが多いんですね。その街の中から風景を見つけ出す、という発想なんです。風景からまず探す、というロマンは、今の映画の制作状況では無いですね。まずドラマが起こる場所を決めて、そこに周囲の風景がもれなくついてくる、という感じです。たとえば今回はある場所で撮影したい団地を見つけたんで、その他のロケ地との間で無駄のないスケジュールを組みたい、と考えるんです。そういう感じで映画は作られていますね。ただ西成だけはエリアが外れてるんですけど、これはぼくがどうしても撮りたいと思って撮りました。そういう例外もたまにはあるんですが。

大阪はキタもミナミも、昭和的なロケーションができる場所です。昔から変わってないんですよ。もちろん建物が新しくなっていたりとかはするんだけど、「こんな広大な敷地がなんで残ってるの」みたいな空き地があったりとか。東京だとなかなか見つけられないですよ。それに許可も大変ですし。その点、柔軟に対応いただいた大阪各市の方にはとても感謝しています。苦言なんてありません(笑)。

たぶんのこの映画が公開されたら、大東市の小学校はまず映画人がみんなチェックすると思います(笑)。だって自分たちが想像するような学校のありかたとかが盛り込まれているので。だから地方で撮影しようと考えている映画人たちは、「あの学校、環境よかったらしいね」と言われるようになるのではと。そこをシステム化していろんな映画人を受け入れられるようになれば、もっといいかなと思います。それで誘致できるようになると思いますし。
本当はいろんなものが揃っている街があって、その街が4つ、5つあるようになれば、映画人としてはうれしいですね。基本的にはその街を中心にしてやるというか。移動距離が少ない方がいいんで(笑)。それにその街で撮りました、といえば応援もしてもらいやすくなりますし。
よく、「旧~」みたいな建物ありますよね。庁舎とかが立て壊されずに、別館みたいになっている。これこそが、東京からわざわざ来る価値があると思うんです。歴史的な映画にするとそういう場所は必要だし、映画人ってやっぱり懐古的、ノスタルジーみたいなものが必要だと思ってるので、そういう場所がどんどん利用できるといいですね。

画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』は、6月21日(土)よりTOHOシネマズ梅田などで公開スタート。

詳細情報
■サイト
『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』公式サイト
普遍的な大阪の風景描く 『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』公開へ[ニュース]


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終章 映画館で映画を観る楽しさを


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