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映画館で「愉しみ」作り出す 立誠小で女性支配人2人がトーク

3月1日(土)、京都の元・立誠小学校特設シアターでのトークイベント企画「おしえて先輩!映画館!」の第4弾が行われた。

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元町映画館の林支配人(写真左)とシネ・ヌーヴォの山崎支配人
執筆:小室祐也さん
執筆協力:宮本裕也さん
シネマカレッジ京都配給・宣伝クラス受講生)

全4回に渡る“授業”の最終回は、「映画の愉しみ篇」である。
日本各地の映画館を巡ったドキュメンタリー映画『旅する映写機』の上映後、立誠シアターでトークを行ったのは、シネ・ヌーヴォ支配人の山崎紀子さんと、神戸の元町映画館支配人の林未来さんのお二人。
『旅する映写機』内であまり触れられなかった関西の映画館の話を中心に、映画館を「愉しむ」ことをテーマにトークが展開された。

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大阪・九条街なか、住宅地内に構える「隠れ家的ミニシアター」シネ・ヌーヴォ。
この映画館にアルバイトで勤めはじめてから、同館とは13年の付き合いとなる山崎支配人は、多彩なラインナップの特集企画を打ち立ててきた。
住宅地内で映画館を構えて運営をするにあたり、様々な苦労を抱えながらも、多くの客に愛されており、「常連客が映画の上映中にピント合わせを依頼する」という一風変わったエピソードに、会場は笑いに包まれた。

一方、去年に支配人になったばかりの元町映画館の林さんは、上映予定の映画の関連企画を組むことが好きだと語る。
「面白そうだったので、後先も考えずにやっちゃいました」と、次々と新たな企画に挑戦しつづけている林支配人。
商店街をゾンビで溢れさせてやろう、と去年の3月にゾンビ映画と連携して企画した「元町ゾンビウォーク」は、地元メディアでも大きく取り上げられ、大成功を収めたという。

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「仕事で、楽しいと感じたことは?」という質問に対し、両支配人は口を揃え、「好きな映画を仕事としていけること」だと語る。
映画を通じて、様々な人との出会いを経験し、「映画と客の間に入っている」感覚が、仕事を支える糧となっていると言う山崎支配人と、映画に関わることしかしていないが、それだけで毎日やっていける、仕事と日常のONとOFFがなくなるが、それが楽しみでもあると考える林支配人。
仕事に追われる日々が続いても、この仕事ならずっとやっていけると、笑いながら語った。

さまざまな企画や工夫を通して、映画館の運営に注力する2人の女性支配人だが、トークイベント当日に訪れた元・立誠小学校特設シアターの手作り感のある造りに感動を覚えたという。映画館を生み出すことが難しくなっているという現状の問題を抱える中、大きな刺激になったと話し、イベントを締めくくった。
映画と観客をつなぐ「愉しみ」を出し続ける映画館。全4回の“先輩”の言葉を通じ、更なる活躍の場を広げていくことを期待したい。

※今回のレポートは、キネプレとシネマカレッジ京都の提携の元、同配給・宣伝クラス受講生が取材し、執筆したものです。

■サイト
映画館の役割、映画の価値―『旅する映写機』など関西で上映へ
http://www.cinepre.biz/archives/9796
『旅する映写機』公式サイト
http://www.eishaki.com/
『小さな町の小さな映画館』公式サイト
http://www.chiisanaeigakan.com/
「地域の映画館」について考える 映画人トーク特集
http://www.cinepre.biz/archives/10321
シネマカレッジ京都
http://cinemacollege-kyoto.com/