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異色の住宅ドキュメンタリー『さようならUR』が大阪に

住宅公団を題材にしたドキュメンタリー映画『さようならUR』の上映が、大阪のシネ・ヌーヴォで始まった。7月6日(金)まで。

『さようならUR』は、旧住宅公団のURが管理する団地の取り壊しをめぐる様々な人の思いや考えをおさめたドキュメンタリー映画。
東京・日野市の高幡台団地73号棟が、耐震改修を行うと発表していたにもかかわらず、突然の方針転換。耐震性不足を理由に取り壊しが決定され、時を同じくして経費削減・民営化の動きが巻き起こる。
本作は、その立ち退きをせまられる住民たちや、UR、国交省側など、多くの人への取材を行った異色の“住宅”ドキュメンタリー。2011年の山形国際ドキュメンタリー映画祭では第1回スカパーIDEHA賞を受賞。日本の組織体制の問題にまで迫ったこの作品が、今回大阪で上映されている。

監督の早川由美子さんは「もともと住宅問題で映画を作りたいと思っていたんです」と話す。しかし最初は若者の住宅問題に興味があったため、このUR問題を本筋とはとらえていなかったが、取材していくうちに「これ一本で映画にするべきだ」と感じたという。
撮影期間は約8カ月。何時間ものインタビューをたくさんの住人や関係者に対して行い、170時間の素材から73分の作品に仕上げた。どういう部分を作品として残したか、という問いには、「理屈の部分ではなく、住民の皆さんの気持ちや普通の生活の姿を取り上げた」と話す。
しかし泣いたりするような場面は、逆にあえて使わなかったという。その理由については「泣く場面っていうのはパワフルなんです。一つの感情を押しつけてしまうことになりかねないので、私はあえて避けて、もっとフラットな感じで現実を伝えたかったんです」と信条を語った。


『さようならUR』監督の早川由美子さん

過去に上映した感触について「団地の映画だから団地の人が見てくれると思っていましたけど、むしろ社会問題に興味がある方がたくさん見に来てくれましたね」と振り返る。
今後の作品づくりとしては「私はいつも、特別な立場ではない普通の人が『おかしいんじゃないか』と思ったことに声を上げるような、そういうところに共感するので、今後もそういった題材を取り上げていきたいですね」と話している。

『さようならUR』の上映は7月6日(金)まで。場所は大阪・九条のシネ・ヌーヴォX。

■予告編

■上映日時
6月23日(土) ~6月29日(金)
 15:30~ 19:30~
6月30日(土)~7月6日(金)
 11:00~ 17:25~

■料金
一般1,500円、学生1,300円、シニア会員1,000円

■会場
シネ・ヌーヴォ
(大阪市西区九条1-20-24 、TEL 06-6582-1416)

■サイト
シネ・ヌーヴォ
http://www.cinenouveau.com/
『さようならUR』公式サイト
http://www.petiteadventurefilms.com/goodbye_ur.php