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8ミリフィルムの質感堪能 姫路「シネマ窟」で個人映画上映

自主作品を定期的に上映する姫路の上映会「シネマ窟」の第11回が6月8日(土)に開催され、8ミリフィルムの個人映画5本が上映された。


今では珍しくなった8ミリ映写機が登場

「シネマ窟」は、姫路シネマクラブが2011年から始動させた自主作品の定期上映会。商業映画ではなく、良質な自主制作作品との出会いの場を創造することを目指し、毎回テーマを設定。約2カ月に一回のペースで開催されている。
今回は「『個人映画』三人展~8mmフィルムの宇宙~」と題し、個人の映像作家が8ミリフィルムで制作した作品の特集上映を行った。

作品を提供したのは、小池照男さん、平田正孝さん、櫻井篤史さん。3人は1983年より京阪神ではじまった「ヴォワイアン・シネマテーク」という、個人・実験映画の制作、上映、出版などを行う活動に参加。8ミリフィルムの時代から継続的に作品を作り続けてきた。
また小池照男さんは1995年以降、芸術性の高い個人作家を紹介する企画展「映像のコスモロジー」をスタート。60人近い作家の作品を紹介してきたという。


シネマ窟の竹中さん(写真左)と今回作品を上映した小池照男さん(中央)、平田正孝さん

上映されたのは、京都の千本通りを昔の映画館が隆盛だった時代に思いをはせながら切り取った『千本キネマ通り』、草花の映像をガラス球に透過させるなどで実験的な映像美を作りだした『花を放つ』、滋賀県の瀬田川にかかる橋から下を行きかうボートの姿を象徴的に映した『新近江八景 瀬田の唐橋』(以上平田正孝さん制作)、映像ならではの表現で「視覚」に対する考察を行った異色作『VOYANT』(櫻井篤史さん制作)、錆びたタイヤチェーンを顕微鏡で撮影した2万枚の写真を、アニメーションの手法で幻想的な映像に仕上げた『生態系-9-流沙蝕』(小池照男さん制作)の5作品。
観客たちは、多種多様な作品を鑑賞しながら、8ミリフィルムならではの質感を堪能した。

上映後はそれぞれの作品や8ミリフィルムについて語る時間も。
小池さんは「フィルムの作品を、映写機の光で観てほしいなと思って活動してきました。こういう機会ができて、非常にうれしい」と話した。今回の上映はシネマ窟の竹中さんからの呼びかけで実現したといい、「竹中さんが作品を観て、言ってくれたことが非常にうれしかった。この人とならぜひやりたいと思った」という。「映像というメディアを通して、私たち制作者の心を見てもらえれば」と呼びかけた。
平田さんと、インターネット電話スカイプで遠方より参加した櫻井さんも、作品に対する思いを披露。参加者たちはそれぞれの作家の姿勢に、静かに聞き入っていた。

竹中さんは「シネマ窟と言いながら、いままではプロジェクター上映ばかり。今回ようやく、念願のフィルム映写機で作品をお見せすることができました。こうした個人映画を作りつづけている人がいることをもっと知ってほしい」と話した。


作り手の話に耳を傾ける参加者ら

開始前には「ホッと一息アニメ」も上映

次回のシネマ窟は8月25日(日)に、姫路市立美術館で開催予定。

■サイト
「シネマ窟」公式サイト
http://www5.ocn.ne.jp/~himecin2/CINEMA-KUTSU/