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それでも、上映せなダメなんです(シアターセブン)

シアターセブンからの寄稿です)


はじめまして、十三にあるシアターセブンでスタッフをしておりますFと申します。
正直、当館がこのようなキネプレさんの素敵な企画に書かせて頂けるなんて、大変恐縮しております(このような機会を下さった編集長、ありがとうございます!)。
当館はミニミニシアターですし、あと私自身、映画ファンというわけではないので、キネプレをご覧の映画ファンのみなさんに楽しんでいただけるか心配です…。
何ができるかわかりませんが、想いを発信できれば…と思っていますので、どうぞ今後とも宜しくお願いします。


『その街のこども』(c)2010 NHK

それでも、上映せなダメなんです。 『その街のこども 劇場版』
1995年1月17日5時46分―得体の知れない大きな縦揺れが街を襲った、阪神・淡路大震災。勇治(森山未來)と美夏(佐藤江梨子)は子供時代、別々に「その街」を経験し、その後家庭の事情で「その街」を離れたが、15年後「追悼のつどい」が行われる前日の神戸で偶然に出会い、震災15年目の朝を迎えるまでの時間を一緒に過ごすことになる。向き合いたくないトラウマ、親友への想い、震災とは、そして生きるとは―。

この作品は、2010年1月17日にNHKで放送されたドラマ「その街のこども」が放送後に大きな反響を呼び、NHK制作のドラマでは異例の劇場公開となりました。2010年年末より関西での先行上映を皮切りに全国各地で劇場公開され、2011年6月にはDVD化もされています。当館でも、昨年2012年1月に2週間上映し、そして今年も現在上映中の作品です。

ミニシアターの役目は、シネコンが上映しない作品を上映することもさることながら、新旧に関わらず『何度も見たくなる作品』を継続して上映していくこともでもあると、私は思っています。事実、昨年の『その街のこども 劇場版』当館上映の際にも、同作を鑑賞するのは3度目というような方もいらっしゃいました。

同作に描かれる二人の微妙な心の動きは、何回見ても胸に響くし、また前回見た時と違ったシーンが心に残ったりします。その間に起こった自分自身の経験で、また違った角度で見えたりするのでしょうか。


『その街のこども』(c)2010 NHK

実は、私自身も「その街のこども」なのですが、未だに震災に上手く向き合えずにいます。いや、震災だけではなく、劇中の美夏(佐藤江梨子)も触れていた『事故や病気、襲いかかる不幸』について、私自身はなんの答えも出せないまま。。。

消えることのない、悲しい心の記憶。
それでも、生きていかなければならないという、現実。
この作品は「無理に消化しようとしなくて、いいんだよ。」ということも、教えてくれているような気がします。

今年もまたこの時期になると、当館のみならず各地でこの作品の上映は行われています。まだご覧になっていない方も、一度ご覧になった方も、是非『その街のこども 劇場版』をご覧いただき、それぞれの想いで感じてくだされば嬉しいです。

『その街のこども』公式サイト
http://sonomachi.com/
シアターセブン 『その街のこども』上映スケジュール
http://www.theater-seven.com/2013/movie_sonomachi-2013.html
昨年のトークショーの様子(シアターセブン ブログより)
http://theaterseven.blog55.fc2.com/blog-entry-66.html