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シネマレビュー(一色プロ)

キネプレ執筆者の一人、一色プロによる映画レポートです。

執筆者:一色プロ@KUMAsakebu

『王様とボク』
原作が漫画ということで、台詞の一つ一つが力強く心にじーんと響く。
「大人になんかなりたくない。」
そんな漠然とした不安。
歳ばかり勝手にとっていくのだが、一体どこがどう変われば「大人」になるのだろう。
私は今23歳。12年前に描いていた23歳はもっと大人だった。
あの頃の自分が今の自分を見たら、一体どう思うだろうか。
一体いつから「大人になんかなりたくない」と考えるようになったのだろう。

いつかの私は思っていたはずだ。
早く大人になりたい。
かっこいい男の子とちゅーがしたい。
優しいお母さんになりたい。
そんなささやかな夢が、いつのまにか大きな壁になってしまった。
この映画は、そんな大人と子供の境目にいる自分に何も答えを教えてはくれなかった。
まるで「もっともがけ」と、「もっと考えろ」と諭されているようだった。
長く生きれば生きるほど悲しい出来事に遭遇するし、知っていることが増えていく。
お酒も煙草も男も覚えて、大切な人もいつか死んでしまうということを知った。
良いことなのか悪いことなのかわからないけれど、それが生きるということらしい。

人間ってとってもばかばかしい生き物だと思う。

まだまだ大人になれないあなたとは、この映画で共感したい。
もうすっかり大人になったあなたには、生きることの生臭さを教えてもらいたい。


『灼熱の肌』
映画は、画家であるフレデリックが自らの命を絶とうと車で木に激突するシーンから始まる。
これから観る方のためにストーリーは割愛するが、とても“女々しい”映画であった。
女々しくて女々しくて、自分と重なり合い、悲しくて安心した。

私は女なので一部想像にすぎないが、男心も女心も素晴らしく忠実に描かれていたと感じた。
共に過ごしていても孤独を感じる女と、それを疎ましく思う男。誰もが共感を得ることができるだろう。
女はいつだって寂しいのだ。どうして欲しいというわけではない、自分を一番にして欲しいとも思わない、あなたの好きなことをしていて良いから大きな愛を感じさせていて欲しい。
男の愛し方はいつも間違っている。そうじゃないんだ。そうじゃなくてもっと私を見て欲しいの、画家のあなたはどうして私を描いてくれないの?友達と語り合うのもいいけれど、たまには私のこともかまっておくれよ。
・・・と書くと、私の愚痴のように聞こえるかもしれないが、大半の女は同じように考えているのではないだろうか。
中身のない空っぽの自分をいっぱいにして欲しくって男にすがってしまう。満たされなければまた別の男を探す。わかっていても繰り返してしまうのだ。
悲しい女の性を、男には是非知って欲しい。女性には共感してもらい、安心して欲しい。

女の私はこの様に感じました。男の方はどの様に感じるのでしょう。是非、感想を聞かせてくださいね。(よければinfo@cinepre.bizまで)

執筆者:一色プロ@KUMAsakebu